いつか自転車で旅する日まで。Velow’s的、自転車のある暮らし
風が気持ち良い、空気が美味しい。自転車の季節がやってきた。
今、世の中は大変な時期だけど、3密を回避できる移動手段として世界中のサイクルショップで自転車が爆売してるのは、自転車好きにとっては明るいニュース。田舎に引っ越すまで10年以上チャリ活していた筆者としては、これをきっかけに自転車に乗る人が増えればそれはそれでうれしいな、と思ったり。
なにはともあれ、自転車に乗るときも外出する際は〈キープディスタンス〉を心がけましょう。
ホイールも走りたそうに待っている。
普段着で楽しめる街の自転車屋。
じつは国の緊急事態宣言が発令される前、野々市市の「Velow’s」に訪れていました。経営するのは西村さん夫妻。サイクルショップ特有の「殺伐とした空気」を感じさせない、温かな雰囲気が魅力のお店です。
ご主人の茂昭さんが自転車に乗り始めたのは病気をしたのがきっかけ。心肺機能を高めるために最適だと、医師から勧められたそうです。体調が回復したあとも自転車との付き合いは続き、金沢市のサイクルショップでの勤務を経て、2008年に独立。多様化する自転車の魅力を多くの人に伝えています。
街乗り用から本格的なロードバイクまで幅広くセレクト。
ひとりひとりの好み合わせたカスタムもしてくれる。
店主の西村茂昭さん。
とはいえ車とは違って、自転車メーカーは星の数ほどありますよね。具体的にお店では、どんな自転車が売れているんですか?
西村さん
MARIN(マリン)のクロスバイクですね。この価格帯にしてはフレームが細身で、十数万のものと変わらないハイグレードなタイヤを履いている。なので、乗った感覚も良いんですよ。
たしかにちょっと試走させてもらった感覚だと、クッション性が良くて、スーッと前に進んでいくような軽さがあります。これなら長い距離を走っても疲れなさそう。
西村さん
デザインや塗装もスタイリッシュだし、十万円を切る価格帯でこのスペックは非常に優秀。最初の一台としてはぴったりだと思います。僕自身も、通勤や通学用にロードバイクが欲しいというお客さんには、まずこの〈MARIN〉をおすすめしているんですよ。
カルフォルニアの自転車ブランド〈MARIN〉。
自転車もグランピングの時代。
2階にはグラベルロードやそれにまつわるグッズを集めたコーナーも設置していますよね。
西村さん
グラベルロードは未舗装でも快適に走れるように設計された自転車のこと。林道ツーリングを楽しんだ後にキャンプをしたり、よりアウトドアな楽しみ方ができます。世界的にも注目されていて、グラベルとキャンプを融合したイベントなんかも各地で大々的に行われているんですよ。
自転車といっても本当にいろんな種類があるんですね。
西村さん
スピードや距離にこだわるスポーツ派もいれば、まったりとツーリングを楽しむアウトドア派もいる。ファッションとしても表現できたり、それぞれの楽しみ方ができるのも自転車の魅力ですよね。
〈SURLY〉をはじめとするグラベルが多数。
おしゃれなシューズなんかも。
おすすめのグッズとかありますか?できれば初心者にも優しいものでお願いします!
西村さん
スピードメーターですかね。
えっ!スピードメーターというとガチ勢がつけるイメージなんですけど…。
西村さん
いえいえ。スピードメーターは速度も表示されますが、距離が大切。自分がどれだけ走ったか、距離を数値化することで達成感にもつながるんです。最近のやつはGPSを搭載しているので、自分がどういう動きをしたのかも分かる。事前にルートを設定すればナビゲーションにもなるし、山の真ん中で絶景スポットを偶然見つけたときもGPSが記憶しているので、また来ることができるんですよ。
スマホとも連動できるので数値の管理もしやすい。
ちなみに石川県にある5つのサイクリングロード。どこが一番おすすめですか?
西村さん
どこも良さがあるんですけど、人気なのは手取キャニオンロードですかね。四季折々の楽しさがあるし、休憩できる場所もある。まずは道の駅まで車でデポして、走れそうな距離から始めましょう。そこからなら信号もほとんどないし、気持ち良いですよ。
思いっきり外の空気が吸える日はきっとくるはず。いつか自転車で旅をするときは、キャニオンロードから始めよう。
Velow’s
ヴェローズ
石川県野々市市粟田2-208
TEL.076-287-0114
営業時間/13:00~19:00
定休日/火曜日
駐車場/あり
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)
お久しぶりです。いきなりなんですけど、西村さんにとって自転車の魅力ってなんだと思いますか?
西村さん
体力面の向上はもちろん、自転車で外を走るたびにリフレッシュできますね。ちょっとした旅をしてるような感覚というのかな。今まで見えなかった景色が見えるし、気持ちにも余裕ができる気がします。それぞれのペースで楽しめるしね。
今、自転車が欲しい!という人は結構いると思うんですけど、後悔しない自転車の選び方ってありますか?
西村さん
世代によっても違うんですけど、たとえば40〜50代のある程度の経験をして、趣味を模索してきた人には、ちょっと高価でも質の良いものを勧めていますね。高いのにはしっかり理由があるし、後々のことを考えるとちょっとがんばって買った方がお得なんです。良いものを買ったら使わなきゃという心理が働くので、長続きもしやすい。