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【まとめ】自家焙煎にこだわる北陸のコーヒー屋8選・前編

ここ北陸が、全国の愛好家から一目置かれるコーヒー地帯であることは意外と知られていない。そのなかでもファンの心を掴んで離さない、自家焙煎にこだわるコーヒーショップを厳選してご紹介。あなたのコーヒー時間をより豊かにしてくれる一杯に出会えるはず。

 

奥能登から全国へと発信する珈琲店『二三味珈琲cafe』[珠洲市]

石川県の奥能登という立地でありながら、地元の常連客はもちろん全国各地からファンがわざわざ足を運ぶ『二三味珈琲cafe』。倉庫を改装して作られたという店内は、白い漆喰壁と梁が印象的な開放感のある空間。ショーケースには自家焙煎のコーヒー豆が10種類前後並び、その中から豆の種類や焙煎の深さで好みのものを淹れてもらうことができる。

 

一番人気は店の名前を冠した「二三味ブレンド」。こちらは選び抜かれた良質な生豆だけを使い、独自の方法でじっくり丁寧に深煎りしたもの。飲んでみると強い苦味と芳醇な香りが印象的だが、驚くのはその苦味が後を引かず、優しく爽やかな甘みが鼻を抜けていくことだ。

 

倉庫を改装した開放的な空間。店内の一角ではコーヒーグッズも販売する。

 

ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるのは、ブレンドが持つ味わいを最大限に引き出すため。

 

その味を作り出す焙煎所『二三味珈琲 舟小屋』が、カフェから10kmほど離れた木ノ浦海岸沿いにある。取材日は焙煎の繁忙期。オーナーである二三味葉子さんはその日、朝から焙煎していた。

 

パティシエを目指し、高校卒業後に大阪の製菓学校に通ったという二三味さん。その時代に授業で飲んだ自家焙煎コーヒーの美味しさに衝撃を受けたのが、この世界に進むきっかけ。東京の名店「堀口珈琲」で4年間焙煎技術を学び、その技術を故郷に持ち帰った。

 

「東京でお店をやろうかなとも思ったんですが、なにしろお金がかかるので(笑)。それに焙煎するには煙も出ますから、人の多い東京で焙煎を続けていくイメージが浮かばなかったんです」と二三味さん。焙煎なら地方でもできると、生まれ故郷の珠洲市で黙々と理想の味を追い求めた。

 

 

映画「さいはてにて」のロケ地にもなった木ノ浦海岸沿いにある焙煎所。

 

オーナーの二三味葉子さん。「天候によって焙煎の仕上がりが違うの。今日のはきっと美味しいですよ」と笑顔。

 

それから数年かけて噂が噂を呼び、全国から注文が集まるように。そして焙煎所のオープンから7年後「二三味珈琲を気軽に味わえる場所が欲しい」との要望に応える形でカフェをオープンした。「わたしたちのお店は、お客様によって支えられています。それに応えるために、注文が入ればコーヒーをおっかけで作っていく。それだけです」と、二三味さんは慈しむように焙煎しながら語る。

 

2015年に公開された映画「さいはてにて」の焙煎指導を担当し、木ノ浦海岸がロケ地になったことからも、さらに注目を高めることになった二三味珈琲。「コーヒーを中心に面白いことや人たちがどんどん繋がっていく。そのきっかけになれたらうれしいですね」と話す二三味さんの笑顔に、深みがありながらも爽やかで優しい、先ほどの一杯を思い出した。

 

焙煎所の隣にある「海の家」ではコーヒーのほかランチも食べることができる。

 

二三味珈琲 cafe

ニザミコーヒー カフェ

石川県珠洲市飯田町7-30-1

TEL.0768-82-7023

営業時間/10:00~19:00(冬季は〜18:00)

定休日/月曜、火曜日

席数/20席 ※全席禁煙

駐車場/5台

 

 

ペアリングを意識した自家製おやつも人気『ブランケットカフェ』[金沢市]

扉を開けた瞬間、コーヒーと焼き菓子の芳しい香りがお出迎え。尾山神社のすぐそばにある『ブランケットカフェ』は、佐々木さん夫妻が営む人気のカフェ。丁寧にハンドピックされた自家焙煎豆は、雑味の少ない澄んだ味わいが印象的。ペーパードリップ、ネルドリップ、フレンチプレスの3種類の抽出スタイルから淹れ方を選べるのも面白い。

 

大通りから一本外れた場所にあるので、静かな時間を過ごすことができる。

 

正面にいても視線が気にならないよう配慮されたカウンター。お気に入りの椅子に合わせて高さを調整したそう。

 

客との距離感をほどよく保つため、適度にものを置くなどレイアウトにも配慮。「おひとりさまも多いので、ひまを持て余さない工夫をしています」と奥様の久美子さん。カウンターには読みやすいエッセイなどが置かれている。

 

フードペアリングを意識した自家製の焼き菓子も美味。

 

開業当初から育てているビカクシダなど植物を多く取り入れている。

 

Blanket cafe

ブランケットカフェ

石川県金沢市尾山町12-2

TEL.076-261-3322

営業時間/10:00~18:00(土曜は19:00〜22:00も営業)

定休日/月曜日 席数/カウンター4席、テーブル14席 ※全席禁煙

駐車場/近隣にコインパーキングあり

※この情報は取材時のものです。

 

酸味をきわ立たせた浅めのロースト『第3倉庫 COFFEE ROASTERS』[金沢市]

金沢市安原工業団地内にある元建具屋の倉庫を改装した『第3倉庫 COFFEE ROASTERS』は、ワークスタイルに身を包んだスタッフが気さくに対応してくれる人気店。コーヒーは酸味をきわ立たせた浅煎りがスタンダード。ラテアートが楽しめるほか、モーニングやランチなどのメニューも充実している。

 

住宅街でひときわ目を引くインダストリアルな建物。

 

バリスタの河口さん。自家焙煎豆の販売もしている。

 

店内の一角で威風堂々と佇んでいるオーディオの数々も見どころ。アバンギャルドのスピーカーやマッキントッシュのアンプなど、すべて合わせればウン千万を超す代物だそう。

 

心地よい音楽に耳を傾けながら、美味しいコーヒーを楽しんでみては?

 

アンティークの家具やインテリアなど、しつらえにもこだわりを感じさせる。

 

これだけのオーディオを備えるコーヒー屋は全国的にも珍しい。

 

第3倉庫 COFFEE ROASTERS

ダイサンソウコ コーヒーロースターズ

石川県金沢市打木東358

TEL.076-240-3455

営業時間/7:00~17:00

定休日/月曜日 席数/テーブル60席 ※全席禁煙(喫煙ルームあり)

駐車場/9台

※この情報は取材時のものです。

 

謎解きをしながらコーヒータイム『謎屋珈琲店』[金沢市]

金沢駅近くにある日本初のミステリーカフェ『謎屋珈琲店』。店内には「謎」にまつわる仕掛けがたくさん用意され、県内外のミステリーファンを虜にしている。

 

店主の郷司峰義さんが焙煎するコーヒーは新鮮さが命。焙煎から7日以内の新鮮な豆のみを使用し、すっきりとキレのある一杯を提供してくれる。「コーヒーは誰もが気軽に楽しむべきもの。自家焙煎コーヒーの入門編として使ってくれたら」と郷司さん。謙虚な姿勢にも頭が下がる。

 

金沢駅前の別院通りにあるお店。店の外ではクイズも出題。

 

ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるのが郷司さんのこだわり。

 

ミステリーカフェとして出題する問題は、店内のボードに貼り出された「今月の真相当てクイズ」と、自家製スイーツを注文すると解答権が得られる「お客様への挑戦クイズ」。いずれの問題も知識は不要で、発想力と忍耐力の勝負。正解すると問題ごとになにかしらの特典も付くのでやりがいは十分だ。

 

条件を満たしたものにだけ贈られる名探偵証明証。

 

謎屋珈琲店

ナゾヤコーヒーテン

石川県金沢市安江町19-6

TEL.076-208-3728

営業時間/7:00~22:00(日曜および連休最終日は~19:00)

定休日/火曜日

席数/カウンター8席、テーブル20席 ※全席禁煙

駐車場/近隣にコインパーキングあり

※この情報は取材時のものです。

 

※こちらの記事は、2017年11月末発行の『BonNo』vol.64を再編集したものです。増税前の記事により、価格が変動していることがございます。

 

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