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木の温もりに包まれた遊びの空間。ハレノチクモリ

近年、保育所や幼稚園などの子育て現場では、木のおもちゃなどの自然素材を取り入れた「遊び」が注目されています。

 

シンプルな木のおもちゃと触れ合うことで想像力が養われるだけでなく、自然環境にも興味が芽生えるきっかけとなる取り組み。今後も木との関わりを重視した体験や活動が、さまざまな場所で実施されていきそうです。

 

 

そんな「木」の魅力を伝える遊び場が、小松市にも誕生しました。

 

『そらのあそびば ハレノチクモリ』は、シモアラホールディングスが運営する、空をテーマにした屋内施設。「やまのおうち」や「もりのあそびば くるけ」を手がけた、木工作家の安西さん夫妻が制作を担当しています。

 

それでは手づくりの遊具やおもちゃなど、こだわりが詰まった遊びの空間へ。7月23日(木祝)のオープンにさきがけて、取締役の下荒朋子さんにお話をうかがいました。

 

想像力を育むための空間づくり

なぜ、ハレノチクモリを作ろうと思ったんですか?

下荒さん

シモアラホールディングスは製材業を営む「シモアラ」が傘下にあることもあり、いつか木の特性を生かした地域の遊び場を作りたいと思っていました。たくさんの親子がこの場所で出会うことで、地域の輪が広がることを願っています。

どんなところにこだわって作りましたか?

下荒さん

最も大切にしたのは0歳から12歳くらいまでの子どもが、それぞれ楽しみを見つけて遊べる空間づくりです。ふと横を見ると穴がある、上を見上げれば階段がある。意識しなくても遊具や空間が導きとなって、発見や冒険、探究につながっていく。新しい遊びが自然と生まれる配置やディテールにこだわりました。

 

 

ハレノチクモリの遊具のほとんどが木製です。なぜ「木」なんでしょうか?

下荒さん

日本には古くから受け継がれてきた「木」の文化があります。温かみのある手触りや木目の多様さ、香りの違いなど、木の種類によって様々な特性を楽しんで欲しい。そして、柔らかく丈夫な木のモノや空間が与える安心感や温もりなど、日本の風土に根付いたこの素晴らしい文化を、次世代に伝えたいという思いもあります。

 

 

手で触れて感じる木の温もり

制作のさいには、在庫として眠っていた間伐材や廃材を再利用。そのほとんどが石川県産で、用途やデザインによって10種類以上の木が使われているそうです。

 

ちなみに最も使われているのは加工しやすく香りも良い「加賀スギ」。子どもたちが安全に遊べるように、大半の遊具が角を丸くした加工処理がなされています。

 

それでは8つのゾーンで構成された遊具をひとつずつ巡ってみましょう。

 

 

まずは、フロアに足を踏み入れると真っ先に目に入る「飛行くじら」。子どもたちの空想を燃料にして大空をのんびりと泳ぐ、大きなくじらがモチーフとなっています。

 

素材となるのはスギとヒノキの木。いくつもの曲線が重なった大工さんの力作です。

 

 

階段をかけ上がれば、くじらの中にも入ることも。ふかふかのクッションにもたれながら絵を描いたり、絵本を読んだり。それぞれが空想を膨らませながら、まったりと過ごすことができます。

 

 

こちらはリアルなごっこ遊びが体験できる「虹色カフェ」。薪ストーブや流し台などディテールにこだわった遊具のクオリティの高さは、大人の目線から見ても感心させられます。

 

ガラス作家がこのために作ったという虹色の創作ガラスも見どころです。

 

 

500冊以上の絵本を収蔵した「ぽかぽか図書館」。“ぽかぽか”というだけあって、太陽の光が優しく差し込む気持ちの良い場所となっています。

 

好奇心を刺激する遊びのしかけ

8つのゾーンに分けながら明確な区切りを設けていないのも『ハレノチクモリ』の特徴。走り回りたいやんちゃっ子、ゆっくり本を読みたい子ども、はいはいよちよちの赤ちゃんなど、自由気ままに動き回る子どもたちに配慮した「動線が重ならない空間づくり」が意識されています。

 

こだわりの遊具は、まだまだあります。

 

 

ヒバ、スギ、ヒノキで作られたしずくを木製プールに敷き詰めた「雨つぶぽつぽつ」。積み上げたり転がしたり、触って匂いをかぎたい赤ちゃんにもおすすめの遊具です。

 

現在は新型コロナ感染対策のためしずくは少なめに。入れ替えのたびにしっかりと消毒がされています。

 

 

こちらはフロアの真ん中にそびえるシンボルタワー「ハレクモの塔」の1階部分。赤ちゃんがはいはいでも入れるフラットな作りになっています。

 

壁には子どもたちの想像力をかきたてる知育玩具がずらり。ここからてっぺんの4階まで、フロアごとに違った遊びを楽しむことができます。

 

 

「ハレクモの塔」3階のすべり台とつながる「くも工場」も、子どもたちの人気を集めそうなスポット。公園のすべり台とはひと味違った、木ならではの柔らかさが安心感を与えてくれます。

 

 

こちらは「ぽかぽか図書館」から「くも工場」を眺めた様子。木以外にも綿や石など自然素材にこだわって作られた様子が伝わります。

 

また「入ってみたい」「何かあるかも」といった、好奇心をくすぐるポイントがいくつも隠されているのも、同施設の魅力だと感じます。

 

 

最後はちょっとした暗がりが子どもたちの探検心を刺激する「きらぼし洞窟」。ここでは隠れんぼをしたり、石のような積み木を使った影遊びができます。

 

 

さまざまな樹脂がパッチワークのように貼り付けられた遊具は、もはや芸術作品のような完成度の高さ。目を見張るような職人技があらゆる場所に隠されているので、大人でも飽きずに楽しめます。

 

 

こちらはハレクモに住んでいるしずくちゃん。

 

ちょっとした隙間など、施設内のいたるところに隠れています。全部で17つぶ。親子でひとつずつ探すだけであっという間に時間が過ぎそうです。

 

このほかにも遊具と離れた場所で休憩ができるフリールームのほか、おむつ交換スペースや授乳スペースなど、親子が安心して遊べる設備も充実しています。

 

料金は600円(会員500円、3歳未満無料)。入場するさいにはホームページからの予約が必要で、90分の入れ替え制となっています。

 

この夏、話題になること間違いなしの『そらのあそびば ハレノチクモリ』。

 

ぜひ一度、足を運んでみてください。

 

 

そらのあそびば ハレノチクモリ
石川県小松市北浅井町舟津25-1
TEL.0761-23-3616
営業時間/9:45~17:00(90分の予約入れ替え制)
定休日/水曜日
駐車場/28台
※こちらの情報は取材時点のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

 

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