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ドラマ「Silent」に登場した音声認識アプリ|DJ TOSHIKIのオトノイロ #12

「聴こえる」と「聴こえない」の垣根をエンターテインメントで結びたい!スポーツDJとして活躍するDJ TOSHIKIが、聴覚障害者への理解を深め、インクルーシブな社会実現を目指します。

 

先日、今話題のドラマ「Silent」を観ていて、印象に残ったシーンがありました。

 

主人公である、中途失聴者(生まれつきではなく、音声言語獲得後に聴力が下がったり、聴力を失った人)の想が聴者の紬とカフェで会話をするシーンで、スマートフォンの音声認識アプリを使って会話をしていたんです。

 

この音声認識アプリは、UDトークというもので「コミュニケーション支援・会話の見えるアプリ」と紹介されており、視聴覚障がい間のコミュニケーションや多言語コミュニケーション、また漢字かな変換や手書き機能を使った世代間コミュニケーションの支援アプリとして利用されています。

 

皆さんは普段の生活の中で、聴覚に障がいを持つ方と突然接する機会が訪れたらどう対応しますか?

 

街で道を尋ねられたり、働いているお店にお客さんとして来店したり、頻繁ではないかもしれませんが、そのような機会が訪れることもあると思います。

 

聞こえない方とコミュニケーションを取る方法として、「手話」「筆談」「口話」などがありますが、最近では聞こえない方とコミュニケーションを取りやすくするための、音声認識アプリが数多く開発されています。

 

放送後、UDトークの公式ツイッターが話題に。

 

 

実際に音声認識と文字変換を使ってみました。マイクをオンにし話しかけると、1〜2秒後くらいでかなりの精度で簡単に文字に変換し、画面に表示してくれます。ある程度は漢字も使ってくれるのでとても読みやすくなっています。また、誤変換があった場合や発声ができない方でもキーボードを使って入力することもできます。

 

入力された文字は音声読み上げもしてくれるのでこれまで難しかったであろう、聴覚に障がいがある方と視覚に障がいがある方がコミュニケーションを取ることも可能になったと思います。

 

聞こえない方が困ることのひとつとしてよく聞くのが、職場の会議などで話についていけないという問題です。毎回手話通訳者がいるという環境はなかなか難しいでしょうし、読唇術(話している人の口の動きを読む方法)が得意な方でも誰が話しているのか分からずついていけないことがあったりと簡単ではありません。

 

しかし、今はこの音声認識・変換機能は会議などでも多く使われているようです。仕事場でのコミュニケーションはとても重要なことで、これまでは「聞こえない」という理由で仕事内容が限られたり、会議などでも会話に参加できなかったりということがあったと思います。

 

2021年の東京都議会では、”筆談ホステス”で有名になった斉藤りえ都議が聴覚障がい者による初の都議会質問に文字を音声に変換するパソコン音声合成ソフト使って質問を読み上げる手法を使ったというニュースもありました。

 

このようにテクノロジーを使って、これまで難しかったコミュニケーションが瞬時に簡単に取れるようになってきていることで、聴覚や視覚に障害を持つ方も仕事や学校そして社会での活躍の場が広がっていくと思っています。

 

ただ、このようなテクノロジーはコミュニケーションを取るきっかけの一つになって欲しいと自分は考えており、その人本来の人間性を知るためのものであって欲しいし、最終的にテクノロジーを使わなくても、人と人として信頼できる関係性を築いていくことが本当の意味での「インクルーシブ」だと思っています。

 

 

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Note:DJ TOSHIKI

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