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電子音楽家tanaka scatさんに聞く、10週連続新作リリースの話

地元のアーティストにアレコレ聞いちゃうシリーズ企画【HOKURIKU MUSIC】。今回は金沢市を拠点に活動する電子音楽家、tanaka scatさんです。

 

金沢市内のショップ、カフェ、アトリエなどのために制作した10分の楽曲・全10曲を、アンビエント集〈Boys,Girls,Music in Kanazawa〉として、2020年3月18日より1曲ずつ10週連続でサブスク・配信リリース中ということで、お話を聞いてみました。

 

第1週目にリリースされた楽曲。2020年5月20日まで週1回ごとに配信される。

金沢のお店で流れる音楽を作りたい。

 

ーーまずは、簡単な自己紹介をお願いします。

 

BONNOをお読みの皆さま、はじめまして。tanaka scatです。金沢でダンスミュージックや電子音楽などを作っている、いわゆるトラックメイカーです。今までに単独作やコラボでCDを5枚リリースしたり、いくつかのコンピレーションやリミックスなども手掛けています。

 

こちらがtanaka scatさん。

 

ーー今回リリースされた〈Boys,Girls,Music in Kanazawa〉の制作のきっかけは?

 

2019年の秋頃、東京の新興音楽レーベル『elect-low』のレーベルオーナー永田健太郎氏から「うちから何かリリースしませんか?」というありがたいお話をいただいたのがはじまりです。氏は、今バズってるバンドのひとつ「Frasco」のサポートやエンジニアでも活躍している方で、この方となら面白い音の発信ができそう!と思ってオファーを受けました。

 

ーー制作するうえでヒントになったことがあれば教えてください。

 

カフェやショップなどに入って流れていたらいいなというイメージから〈Boys,Girls,Music in Kanazawa〉を作りはじめました。ソファに深く座ってボーッとしたいときに聞きたくなる感じ、といいますか。そして以前から、関係者だけに配布する非売品のCD「ノベルティCD」というものも作ってみたいと思っていました。非売品って言葉がついてると逆に欲しくなりますよね(笑)。そんなノベルティCDを知人のカフェやショップ、アトリエにCDを渡すことができたら面白いなと考えるようになり、これらのことを掛け合わせて金沢やその近郊のお店の店内で流れる音楽というコンセプトを思いつきました。

 

また、金沢の普遍的な風景にも影響を受けています。僕自身、生まれも育ちも金沢で今もずっと金沢に住んでいます。中心部は昔と比べて変わってきましたが、まだまだ昔と変わらない街並みも多く残っています。街の発展は喜ばしいことですが、昔と変わらない普遍的な風景があるということは、心の拠り所となってサウンドにも反映していると感じます。

 

ノベルティCDは1曲多い11曲入り。非売品だけど今後、限定販売もあるかも…?

メッセージがないことがメッセージ。

 

ーータイトルである〈Boys,Girls,Music in Kanazawa〉の意味を教えてください。 

 

頭文字をとると、BGMになります。「金沢のBGM」という言葉遊びです(笑)。ただ今思えば〈Boys,Girls〉と付けたのは、男女問わず誰からも聴いてほしいという願いからきているのかもしれません。

 

ーー10週連続リリースの意図とは。

 

〈10分×10週連続=加賀100万石〉というユーモアからスタートしたように思います。ただこの〈10分×10週連続〉というのにも意味があって、連続企画という形にすることによって、週刊誌や日々使用する雑貨や道具のように、いろんな人の耳に〈定期的に〉届くきっかけになるのではと思いました。

 

また、すべての曲を1曲10分に統一したのは、曲に意味を持たせたくなかったからです。曲の長さを統一することで、機能的だったり工業的だったりという具合になるのではと思いました。

 

ーー今作で伝えたいメッセージは?

 

メッセージは特にありません。こう言うと愛想のない返答かと思われますが、ここは曲を作りだした頃から一貫してるつもりです。人から「なんでボーカル入ってないの?」と聞かれることがありますが、ボーカルやメッセージがないから聞き続けることができる音楽やジャンルもあるんだな、と思ってます。もちろんボーカル入りの曲を否定するつもりは毛頭ございません。僕自身、過去にはラッパーとコラボしたり、ボーカル曲のリミックスも手掛けたりもしましたし、歌物も好んで聞きます。強いていえば、僕の音楽は『メッセージがないことがメッセージ』です。聞いた人がそれぞれに解釈して好きに楽しんでいただければ幸いです。

 

それともうひとつ。
今回10分×10週というリリース方法ですが、PVも10分×10週という形でリリースしています。なかなか類がない方法かもしれません。映像は旧知の仲で同じ釜の飯を食べてきた同志のMasato Oyachi(YOCO ORGAN)が快く引き受けてくれました。今回彼と音楽に対する気持ちを共鳴させながら取りかかれたことが本当に良かったです。話をするとホントーーーーに長くなるので、どこかでトークセッションできたらいいよね、と2人で話をしています。

 

そんな旧友Masato Oyachiと制作したPV。高校の同級生だそうです。

 

ーー今後の活動予定を教えてください!

 

2020年はリリースが沢山増える予定です。ただしこのコロナの影響もあるので、そこを考慮して活動していきたいです…。それとフルアルバムはリリースしたい!アルバム2枚くらいリリースできる曲のストックはあるのですが…。どういうユーモアを駆使してリリースするのか?といったことに興味があります。

 

ーーBONNO読者にメッセージがあればひとこと。

 

BONNOを読んでいる時点で石川県の〈感度の高い〉方ばかりかと思います。そんな感度の高い方に今回の作品集や過去の僕のダンストラックがひとつでも引っかかれば幸いです。これからも石川県は金沢で音楽を作っていきますので何卒御贔屓にしていただけますよう、よろしくお願いします。

 

 

 

tanaka scatのライブ・リリース情報はTwitter(@tanakascat)をチェック!

 

(取材・文/伊奈)

 

◯北陸を拠点に活動するミュージシャンにインタビューする【北陸ミュージック】

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