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石川音盤探訪 #06|魔法陣(遠山誠)

次世代に残したい名盤を求めて、北陸の小さなレコード店やディスクショップを巡る【石川音盤探訪】。

 

第6回目は、金沢もりの里の住宅街にひっそりと佇む『魔法陣』を訪れました。

 

 

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魔法陣

ヘヴィメタルは心のふるさと。

2018年にオープンした『魔法陣』は、東京出身の遠山誠さんが経営するレコードショップ。店舗となるマンションの一室には、ロック、ジャズ、ソウル、歌謡曲からクラシックまで、5,000枚超のアナログ盤やCDが並べられています。

 

国産のヴィンテージスピーカーから流れる音楽が心地よく、いつまでもdigっていたくなる。お店にはそんな雰囲気が漂っています。

 

店主の遠山誠さん。ジャケットを見ればお分かりの通り、大のメタル好き。

なぜ、レコードショップを開こうと思ったんですか?

遠山さん

もともと東京で営業マンをしていたんですけど、2018年に妻の実家がある金沢に移住することになって。いい歳だったし、見知らぬ地でゼロからキャリアを築くのもしんどくて、自分のコレクションであるレコードを売ることにしたんです。

魔法陣って珍しい店名ですよね!

遠山さん

ハードロックとの出会いが音楽好きになったきっかけ。なのでそこからのインスピレーションで名付けました。ブラック・サバスとかレッド・ツェッペリンのような、黒魔術やオカルティズムの世界観が好きなんですよ。

HR/HMに特化せず、幅広いジャンルと質の高いセレクトを心がけている。

いつからハードロックを聴くようになったんですか?

遠山さん

中学2年くらいかな?同級生の兄貴に教えてもらって、衝撃を受けたのを覚えています。レインボーの「ダウン・トゥ・アース」がリリースされた頃ですね。

HR/HMのどんなところが好きですか?

遠山さん

疾走感。いまだに聴くと血沸き肉踊りますね。ヘヴィメタルは心の故郷というか、若い頃に聴き狂った旋律や疾走感のあるビートが、細胞のひとつひとつに刻み込まれているんです。

会社員と並行しながらアマチュアギタリストとしても活動。

常連さんが多い店と聞きました。どんな人が来るんですか?

遠山さん

年配の方が多いですね。常連さんの中には週4〜5日のペースで来られて、一日一枚レコードを買っていく方もいます。まとめ買いするのではなく、足を運んで吟味するのが好きなんですって。素敵な老後の過ごし方ですよね。

ちなみにお客さんがいないときって何をしているんですか?

遠山さん

レコードのクリーニングと針飛びチェック。あとはプライスカードを作ったり、フェイスブックとグーグルのページに情報をアップしています。

これって超音波洗浄機ですよね?やっぱり全然ちがうものなんですか?

遠山さん

これまでは手作業でひとつずつ磨いていたんですけど、これなら一度に5枚ずつ洗えるので効率的。すごくピカピカになるし、ノイズが減って音がクリアになる気もします。

「できるだけキレイな状態でお客さんに渡したい」と遠山さん。レコードの状態管理にも余念がない。

ずばりアナログ盤の魅力とはなんでしょう?

遠山さん

まずはジャケットの大きさ。レコードにはほかのメディアにはない、アートとしての魅力があります。あとは音圧ですね。

音圧ですか。

遠山さん

CDやストリーミングも便利だし良い部分もたくさんあるけど、臨場感や音のパワーを楽しむなら断然レコードだと思います。あとはそれほどお金をかけずに、コレクションできるのも魅力かな。

30代になってから愛聴するようになったというジャズのセレクトも秀逸。

 

歌謡曲も充実。ちなみに遠山さんが始めて買ったレコードは、太田裕美の「心が風邪をひいた日」だそう。

それでは最後にひとことお願いします!

遠山さん

今年の目標はバンドを組むこと。現在ベーシストとボーカルを募集中なので、興味のある方はぜひお店にご連絡ください!

そんな遠山さんにお気に入りのアナログ盤をセレクトしてもらいました。

 

遠山誠さんが選ぶ「ヘヴィメタル不滅の名盤」

アイアン・メイデン/鋼鉄の処女

 

1975年に結成されたイギリスのヘヴィメタルバンド、アイアン・メイデンの1stアルバム。この作品によって、その後のNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)を牽引する、シーンの旗手として注目を浴びるようになった。

遠山さん

荒削りなスピード感と、ブリティッシュならではダークな世界観。アイアン・メイデンはバンドのアンサンブルも素晴らしいので聴きごたえがあるんですよ。

プレイング・マンティス/タイム・テルズ・ノーライズ

 

叙情的な正統派ヘヴィメタルを演奏するバンドとして日本での人気が高い、プレイング・マンティスのデビュー作。

遠山さん

NWOBHMムーブメントを代表するヘヴィメタルバンド。アイアン・メイデンほどの疾走感はないけど、哀愁漂うメロディやハーモニーが特徴です。中高生の頃はスピード感が足りなくて物足りなかったけど、この年になって聴き返すと心にグッときますね。

サムソン/ヘッド・オン

 

1979年にギタリストのポール・サムソンを中心に結成し、2002年の解散までカルト的な人気を誇ったサムソンの代表作。ブルース・ディッキンソン(現アイアン・メイデン)がボーカルを務めている。

遠山さん

ジャケットの人物は、檻の中でドラムを叩くパフォーマンスが有名なサンダー・スティック。音は軽いですが、オカズの多いスリリングなドラミングは聴いていて何だかクセになりそうです。楽曲的にはポップな一面もあって、HR/HM初心者にも聴きやすい一枚だと思います。

 

以上、遠山さんが選ぶヘヴィメタル不滅の名盤でした。

 

 

魔法陣

マホウジン

石川県金沢市もりの里1-186 Margo98 1F
TEL. 076-264-0098
営業時間/11:00~19:30
定休日/月曜日
駐車場/2台
※こちらの情報は取材時点のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

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