【まとめ】宅飲みを一気に格上げ。美味しいお酒が呑みたくなる石川の酒器。
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2020年も残すところ、あと1週間。コロナ禍の影響もあって、今年の年末は自宅でゆっくりとお酒を楽しむ時間も増えそうです。そこで今回は、宅飲みの気分が上がること間違いなし。石川生まれの素敵な酒器を集めてみました。
『上出長右衛門窯』の徳利と切立湯呑
右/Jaime Hayon×KUTANI CHOEMON 徳利ラッパ型 縞に木瓜 朱巻 27,500円
左/切立湯呑 笛吹 5,500円
創業140年以上の歴史を誇る九谷焼の窯元『上出長右衛門窯』が製作する酒の器。胴の部分がきゅっとくびれた瓢箪(ひょうたん)型のフォルムが印象的な徳利に、お猪口ではなくサイズ感がちょうど良い、切立湯呑を合わせてみました。
徳利をデザインしたのはハイメ・アジョン氏。スワロフスキーやバカラなどともコラボする、スペイン出身の人気クリエイターです。彼の斬新なデザインが、老舗窯元の伝統的な技によって、暮らしの器へと落とし込まれています。
注ぐときの音と、日本酒の香りが広がるよう注ぎ口はラッパ形に。
くびれの部分を持つと、お酒が注ぎやすい。
繊細な絵柄はすべて職人が筆で描いたもの。模様ごとに異なる濃淡には、手描きならではの温かさがあります。60年前から描かれ続けているという笛吹の絵柄も、ほっこりとした気分にさせてくれます。
『我戸幹男商店』のTOHKA酒杯
TOHKA 酒杯(価格は未定。クラウドファンディングサイト「Makuake」にて、先行発売中)
伝統美とモダンが融合した山中漆器を展開する『我戸幹男商店』と、山中の日本酒バー『縁がわ』を経営する下木雄介さんのコラボによって誕生したステムカップ。国産の木を極限まで薄く細く削り出した、光が透過するほど繊細なデザインが特徴です。
「形状によってお酒の様々な表情を引き出すことができるんです」と代表の我戸正幸さん。杯の形状は5種類。内側にはそれぞれ異なる段差や曲線が描かれていて、日本酒の旨味や酸味、香りなど5通りの味わいが楽しめます。
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山中漆器の特徴はろくろの技にあり。高度な職人技によってステム部分を4mmという細さまで挽く。
大吟醸の香りを引き出すよう設計された「TOHKA酒杯 吟」。
建材や家具などにも使われるミズメ材を使用しているので耐久性も十分。おなじ日本酒を形状の違うカップに注いで、いろんなお酒の表情を楽しんでみてはいかがでしょうか。
『h collection』のクリスタルロックグラス
右/ラージステムグラス セレモニー 8,800円
左/クリスタルロックグラス セレモニー 13,200円
『h collection』は、金沢在住のガラス作家・廣島晴弥さんが手がけるカットガラスブランド。その美しく柔らかなカット技術には、目を見張るものがあります。
「バーという場所に憧れを抱いたことが、ものづくりを始めるきっかけになった」という廣島さん。光が反射したエッジの表情や、飲みものを入れたときに現れる陰影はとても美しく、お酒の時間に静かに寄り添ってくれる。そんな安心感があります。
クリスタルは材料の主成分に酸化鉛を24%含んだガラス。透明度が高く、重量感があり、氷が溶けると澄んだ良い音がする。
日本酒の香りが引き立つグラスや徳利も製作する。
軽くて丈夫なので、ガンガン使えるのも嬉しいところ。金沢市本多町にある『好日用品店』では、廣島さんの作品のほとんどを見ることができます。
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有永浩太さんのbubble cup
右/bubble wineglass short 7,150円
左/bubble cup 3,300円
ガラスを吹かずに水蒸気の力で膨らます「ピンブロウ」という技法によって作られたバブルカップ。七尾湾に浮かぶ能登島で創作活動を続ける有永浩太さんの作品です。
丸くふくらんだしゃぼん玉のような形が特徴的。ビールやワイン、ウイスキーなど、なにを注いでも映えるので、普段使いにも重宝します。軽くて薄口だから口当たりも滑らか。
ベネチアングラスの技法「レースグラス」から着想を得たgazeシリーズ。
「gaze」は、細かいガラスの管をいくつも折り重ねて作られた有永さんの代表作。「ガラスの糸を重ねる手間と、吹きガラスの瞬間的な工程。相反するふたつの時の流れがこの作品に込められています」という思いから生まれた逸品です。梅酒などの色の濃いお酒を入れると線の美しさが強調されます。
森岡希世子さんのそば猪口
そば猪口(私物)
最後に紹介するのは、筆者が愛用する九谷焼作家・森岡希世子さんのそば猪口。ガラス質の光を透かす土を使った白磁の器です。
釉薬は使わずに、表面をヤスリで磨き上げたマットな質感。ロクロで薄くひかれたフォルムは柔らかく、手に持ったときにしっくりと馴染みます。
飲み口が薄いのも特徴。吟醸酒の香りがとても際立つ。
酒器が変われば、味も気分も変わる。
さて、今日はどの器で、なにを飲みましょうか。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)