松尾芭蕉が絶賛した小松うどん。おかずをセットに週替わり定食
松尾芭蕉も食したされる小松うどん。その歴史は深く、江戸時代には加賀藩御用達品として将軍や大名家にも贈られた。ほどよくコシのある細麺と、白山の伏流水と魚の節を使ったあっさり味の出汁。このふたつが互いを引き立て、勧進帳さながら阿吽の呼吸で旨さを醸し出す。
ツルッとした喉ごしと食べやすさが特徴。ゆで上がりも早いので急ぎのときは重宝する。
毎週、いや毎日食べても飽きない家庭の味。
小松うどんが食べられるうどん屋は数あれど、ここまで定食に力を入れる店はあるだろうか。小松市の郊外に位置する『穂の香』は、谷口さん夫妻が経営するアットホームな店。「週替わり定食」をはじめ「天ぷら定食」やエビフライがついた「穂の香定食」など、常時4〜5種類の定食を用意する。
おすすめは「週替わり定食」。メインのおかず、選べる小鉢、ミニうどん、ごはんがセットになって980円(税抜)。「毎日のように通うお客さんもいるので、栄養バランスを意識しながら献立を考えている」と谷さんが話すように、おかずや小鉢は市場で直接仕入れた新鮮な食材を、毎日食べても飽きない家庭的な味付けで調理。ドレッシングやタレもなるべく手作りにこだわっている。
週替わり定食980円(税抜)。本日のメインは豚肉となすのジンジャーソース炒め。
店主の谷口哲也さん。奥さんと二人三脚で厨房を切り盛りする。
麺と出汁。どちらが勝ってもいけません。
肝心のうどんは自家製。小松産の小麦粉と国産の小麦粉をブレンドし、白山の伏流水と塩で、ツルッとしたモチモチの食感に仕上げている。出汁は国産昆布に混合節(さば、うるめ、いわし)、かつお節2種類をブレンド。麺のコシに負けず、かといって繊細な麺の食感や味わいを打ち消さない、深い旨みとコクのある出汁となっている。
ちなみに『穂の香』ではこの出汁を酒壺に入れて、麺を茹でるお湯に浮かせている。「これなら煮詰まることがないし、開店から閉店まで出汁の味が一定に保てます。昔の人の知恵ですが、今でもやってるところはほとんどないかも」と谷さん。代々受け継がれてきた職人の技は、こうして今の時代にも受け継がれている。
小松市安宅は北前船の寄港地として栄えた町。それもあってか、昆布の出汁が効いてるのも小松うどんの特徴だそう。
出汁の入った酒壺。手間はかかるが、店の味に関わる大切な技である。
定食では西田農園の有機野菜をたっぷり使ったランチ「華」も人気。肉抜きや魚抜きなど、ベジタリアン対応しているのも珍しい。看板メニューは「勧進帳うどん」。まかないから始まった具沢山のうどんで、肉、いなり、たぬきの3種類が1杯で楽しめる。870円。
場所は小松市郊外。イオンモール新小松から車で5分。
ランチタイムは混雑必至。テレビでも見ながら気長に待とう。
うどん工房 穂の香
ウドンコウボウ ホノカ
石川県小松市若杉町3-21
TEL.0761-21-9418
営業時間/11:00~15:00(L.O.14:45)、17:30〜20:30(L.O.20:15)
定休日/月曜、祝日
席数/カウンター6席、テーブル14席、座敷6席 ※全席禁煙
駐車場/10台
※こちらの情報は取材時のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)