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ニャンとカフェとブックスと。素敵な三位一体『NYANCAFE-BOOKS』で猫本を読む

金沢の住宅街にひっそりと、猫好きが集まるブックカフェ『NYANCAFE-BOOKS』が佇む。

 

愛猫家の店主が営むこちらの店。

壁一面の本棚に敷き詰められた約2,000冊の蔵書のなかには、写真集や純文学など400冊以上の猫本が含まれている。

 

 

扉を開けるとコーヒーの香りとともに、店主のリンダさんが穏やかに出迎えてくれる。

 

『古本と珈琲 NYANCAFE-BOOKS』店主のリンダさん

 

店主のリンダさんは、学生時代はマンガ研究家に在籍していたそう。なんとデビュー前の岡崎京子が寄稿したミニコミには、リンダさんの作品も掲載されているんだとか。

 

猫関連の本、小物が多い。

 

生粋の猫好き、マンガ好きであるリンダさんに、敬愛すべき、猫愛あふれるマンガを聞いてみた。

 

ー猫好きにおすすめしたいマンガはありますか?

猫を題材にした本や漫画にはふたつの種類があると思っていて、ひとつは猫を擬人化するタイプ。人間が言うとトゲのある言葉でも猫に言わせると和らぐ。『アタゴオルは猫の森』はそれが上手に表現されている作品です。主人公の猫は平気で嘘をつくし、わがままも言う。だけど、猫だから許せる。シニカルな内容でも、猫というフィルターがかかっているので、スッと読めるんです。アニメ化もされているんですよ。作者のますむらひろしさんは、ほかにも猫を主人公にした『銀河鉄道の夜』などたくさんの猫マンガを描かれています。

 

アタゴオルは猫の森 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
KADOKAWA (2014-08-14)
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出展:『アタゴオルは猫の森』1巻 ますむらひろし/メディア・ファクトリー

 

ーもうひとつのタイプとは?

猫のいる生活をリアルに描いたタイプです。たとえば、若い夫婦と猫一匹の何気ない日常が淡々と描かれた『三好さんとこの日曜日』というマンガがあるのですが、そこに出てくる猫は一切話さないし、まったく姿を見せないときもある。登場人物が夫婦だけなら普通の会話で終わるところを、猫の目線で聞くとなぜか面白さが増すんです。猫を飼っている人ならわかる、猫と人間の距離感が丁度よく感じます。

作者の三好さんはご逝去されてしまったので、この独特の世界観は、残念ながら過去の作品でしか見ることができません。

 

三好さんとこの日曜日 (Spirits neko comics)
三好 銀
小学館
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ほかにも、1970年代より猫マンガを描き始め、現在も猫十数匹と暮らしながら活動を続けているセツコ・山田先生の『猫語辞典』も外せません。
一つ屋根の下に家族と猫が10匹近く。ハートフルな内容に胸を打たれます。ちなみにセツコ先生の元旦那さんは、さいとう・たかを先生です。

 

猫語辞典(1)つれづれ猫日記
リイド社 (2013-11-29)

出展:『猫語辞典』より(セツコ・山田/リイド社)

 

古くは『じゃりん子チエ』の小鉄や『おそ松くん』のニャロメなど、個性豊かな猫キャラが作品を賑わせた日本の漫画史。最近でも雑誌〈カーサブルータス〉で連載中の『きょうの猫村さん』など、個性的なキャラが続々と誕生するなかで、リンダさんに「ベスト・オブ・猫マンガ」を訪ねてみた。

 

ーズバリ、一番好きな猫マンガはなんですか?

猫マンガと言われたときに真っ先に思い浮かんだのが『ドラえもん』でしたが、やっぱり水木しげる先生の『妖怪夜話』かなと。妖怪マンガなので多少の怖さはありますけど、大の猫好きとしても知られる水木先生の猫愛があふれた良作だと思います。この世のものとは思えない姿の猫たちがいつの間にか愛おしくなるんですよ。

 

妖猫夜話―水木しげる猫漫画短編集
水木 しげる
どうぶつ出版
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出展:『妖猫夜話』より(水木しげる/どうぶつ出版)

 

お店には猫本だけでなく、純文学やノンフィクションを中心に、旅行、生活、演劇などの本がずらり。セレクトされた古本には店主リンダさんの好みが色濃く反映され、そのどれもが手に取るとワクワクする気持ちが伝わってくる。

 

コーヒーは奥能登の人気焙煎所〈二三味珈琲〉の豆を使用。

 

会えたらラッキー。黒猫の文学(メス・9歳)

 

リンダさんと生活を共にする黒猫の「文学」は大の人見知り。ほとんどの時間を2階ですごすそうだが、常連の声が聞こえると、挨拶をしに降りてくることもあるんだとか。

 

猫マンガを読みながら美味しい珈琲をすする。

ニャンとも贅沢で至福な時間を堪能しに行ってみよう。

 

古本と珈琲 NYANCAFE-BOOKS
ニャンカフェブックス
石川県金沢市石引2-23-14
TEL.076-221-3644
営業時間/11:00〜19:00
定休日/月曜、火曜、不定休
席数/テーブル6席 ※全席禁煙
駐車場/2台
※この情報は取材時のものです。

 

※こちらの記事は、2018年3月末発行『BonNo vol.80』を再編集したものです。

 

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