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全国にファンを持つ雑貨ブランド「AIUEO」唯一の直営店。なぜ山代温泉に?

 

みなさん、突然ですがアップリケって買ったことありますか?筆者は子ども時代に親が買ってくれたものを付けていた記憶はありますが、自分のためには買ったことがありませんでした。2年前、子どもを保育園に入れる際に購入したのですが、ネットの海をさまよいながらアップリケ市場って広いんだなと悩んだのを覚えています。

 

テレビのキャラクターものは子どもが喜ぶけどかぶりそう…

シンプルなものは、親としては好きだけど大人っぽすぎるかな…

動物にするか?リアルなのとイラストとどっちかな。うーん絶妙に好みものがない…

 

そして最終的にたどり着いたのがこちらでした。

 

 

雑貨ブランド『AIUEO』の文字を模ったアップリケ!ひらがなは「“か”ぜをひいたイヌ」や「“き”のあるふうけい」、「“み”んなにプレゼントをはこぶうま」などそれぞれの文字から始まるモチーフがデザインされ、ただ可愛いだけじゃない独特の世界観があるのも魅力です。

 

筆者の場合は子ども用に使用するので、あとはこの中から名前の文字を選んでネットでポチるだけ。人の名前ごとにモチーフの並びが変わるので自然と個性が出るのもユニークです。結局このアップリケをつけた帽子は家でも脱がないほど、我が子もとても気に入りました。

 

温泉街に新たな風を吹かせる雑貨店

 

そんなアップリケの悩みなど忘れた昨年の11月、筆者にとって驚きのニュースが飛び込んできました。なんとあの「AIUEO」の直営店が山代温泉にできる!しかも、現状では唯一の直営店とのことで、わたしの頭には「なんで山代温泉?」の文字ばかりが浮かびます。これは行くっきゃない!ということで、満を持して突撃してきました。

 

 

 

カラフルでポップな暖簾とグレーのスタイリッシュな外壁のコントラストが印象的な佇まい。場所は山代温泉古総湯から徒歩1分の、町の中心にあります。

 

出迎えてくれるのは店内のパーティクルボードの壁に直接描かれたブランドのキャラクターたち。可愛くて楽しいけれど決して子どもっぽくない、そんなブランドのスタイルが見て取れるようです。

 

商品棚にはペーパー小物や文具、靴下にカバンに絵本、マグカップなどなんでもあり!これぞ雑貨店の面白さですね。

 

 

店の一角はシックな壁のギャラリースペースになっていました。この日の展示はブランドの人気キャラクター「うさぶーちゃん」の展示。「毎日うさぶーちゃん」という企画で書いた原画や新作イラストの展示販売をしています。

 

 

オリジナルのスタンプコーナーは子どもにも大人気。我々も“ぼんの”スタンプを楽しませてもらいました。「濁点のスタンプがないので、小さい人のスタンプを使ってみても可愛いですよ!」とのこと。ラインのスタンプなど文字以外にもいろんなスタンプが用意されていて、創造力が高まりそうです。

 

 

営業日によってはカフェ利用ができる日も設定しているそう。片山津「mie coffee」、東京「但馬屋珈琲」、山代温泉「KOKOPELLI COFFEE」といった3つの焙煎所の焙煎度合いが違うコーヒーや、山代温泉のハーブと工芸がテーマのショップ「月月」オリジナルの植物香茶がAIUEOのマグカップで楽しめます。

 

地元の和菓子店「丸福」がつくる同店オリジナルのくまちゃん落雁が添えられていて、ほっこりしたお茶時間を過ごせそうです。

 

奇跡の巡り合わせで、山代温泉が「AIUEO」の郷に?!

 

こちらが「AIUEO」のブランドディレクターで、この店の店主でもある荒川香織さん。京都の芸術大学で広告デザインを専攻し、京都の出版社に就職後、雑貨部門として立ち上がった「AIUEO」で、デザインやイラスト、商品の企画開発に店舗運営などを総合的に任されてきました。そして2021年にブランドの事業譲渡を受けるとともに独立。石川県に拠点を移しました。

 

はじめまして。以前から知っていた「AIUEO」の直営店が山代温泉にできたと聞いて驚きました。

荒川さん

そうですよね。私は金沢市の出身なんですが、事業譲渡をきっかけに住む場所を地元の石川県に移したくて。加賀にある祖父母の大きな家が空き家になっていたので私が住むことにしたんです。元々都会に住むのは性に合わなくて、京都で働いている時も途中から自宅は滋賀の彦根に構えていました。住み心地がいいことや家賃などの固定費を抑える意味でもその方がストレスは少なかったんです。

元々この店舗を中心とした事業展開を考えていたんですか?

荒川さん

いや、実店舗は全く考えていなかったです。そもそもダウンサイジングしたいと思っていたので、オンラインでも販売しつつポップアップショップやクラフト系の博覧会を中心に展開していく予定でした。でも、この場所を見つけてしまったんですよね(笑)

 

店の向かい側にある薬王院温泉寺入口にある石碑

 

というと?

荒川さん

会社を作るための手続きをしに、加賀温泉駅に降り立ったときかな?“あいうえおの郷”ってでっかく書かれた看板を見つけたんです。自分のブランドが“AIUEO”なので「え、なにこれ?」と思って調べてみました。そしたら山代温泉は五十音図「あいうえお」の発祥の地だということが分かって。しかも、街を歩いていると、その五十音図を作った明覚上人が初代住職となった薬王院温泉寺の目の前でテナント募集がされていたんです。これはもう、私がやるしかないなと。

それは運命的な出会いですね!直営店は以前もされていたんですよね?

荒川さん

はい。京都の北山エリアや大阪のNU茶屋町、最後は東京の渋谷ヒカリエにもお店を出していました。

へぇ~、有名な商業施設にも。

荒川さん

今は全て閉めて直営店はここだけなので、全国から「AIUEO」のファンが来てくれるんです。大体お客様の1/3がファンの方たちですね。あとは観光でたまたま来られた方と地元の方が半々。県外のファンの皆さんはこの店に来るために近隣の宿に泊まってくれることもあるので、地域にも少し貢献できているのかな、なんて思っています。

山代温泉店のみで販売される限定商品

 

それは加賀市としても「空き家リノベグランプリ」の優勝者にした甲斐がありましたね。

荒川さん

優勝させていただいたのはすごくありがたかったです。そのグランプリに提出するプレゼンシート、ほとんど手書きで作ったんですよ。フォーマットも用意されていたのですが、なんだか伝わりづらそうだなと思って。

ネットで拝見しました。個性があってお店のコンセプトも理解しやすいですよね。このプレゼンシートを見ていると、荒川さんがやりたいことに真っすぐな方なんだなということが伝わってきます。

荒川さん

言われてみればそうかも。お店を作るために動き出して気づいたのが、自分の好きな人と一緒に仕事ができる心地よさでした。例えばお店の入口にかけている暖簾は、京都で染物をしている友人に依頼しました。店舗も大学時代の友人がやっている建築事務所の設計なんです。

ふむふむ。

荒川さん

会社に所属していると、細かい予算があったり、稟議を通したりと、自分がやりたいというだけではその人と組むのが難しいですが、自分でそれが全て決められることに気づいてとても幸せに感じたんです。

今後はどんな展開を考えていらっしゃるんですか?

荒川さん

京都でも地元のものづくりの方々とコラボしたプロジェクトをおこなっていたのですが、石川でも伝統工芸を軸にした商品開発を考えています。この町に来た方のお土産にもなるだろうなと思って。伝統工芸だけじゃなくても、地元の顔の見える方々と一緒にお仕事をしていきたいです。

 

京都時代に企画したプロジェクトのプロダクト

 

以前一緒にブランドを運営していた仲間も現在はフリーランスとなり、パートナーとして「AIUEO」を支えてくれているのだとか。ものづくりに誠実な荒川さんだからこそ、その想いが周囲との関係性や商品の魅力にも反映されているのかもしれませんね。

 

石川県での今後の展開もとても楽しみです!皆さんもぜひ温泉に入りがてら遊びに行ってみてください~!

 

 

 

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AIUEO 山代温泉店

住所/石川県加賀市山代温泉万松園通15

TEL. 070-3774-3080

営業時間/10:00-18:00 ※日によって変更有

定休日/不定休 ※HP、Instagram、Google MAPの営業カレンダーを要確認

駐車場/なし

HP/https://www.hello-aiueo.com/

Instagram:@aiueo_happy

 

※こちらの情報は取材時点のものです。

 

 

(撮影/林 賢一郎)

 

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