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爆裂地方都市⑧|トイレのジェネレーション・テロリスト

僕らのローカルシティポップ【爆裂地方都市】
爆裂地方都市・金沢の地から、ホコリにまみれた名曲から知られざる新曲までを掘り起こす!石引のカレーマスター・モカさんがカレーの合間にしたためた〈俺だけのディスカバリー〉がここに。

 

僕がお店を始めた(継いだ)のが2002年、25歳のとき。その時の大学生バイトが20歳くらいだったので最初はちょっと歳上のお兄さんといった立場でした。そして今は44歳。でも学生バイトは卒業と入学の入れ替わりでずっと20歳くらいのままなのでどんどん歳の差が離れていきます。これは時代の流れで仕方のないこと。先生みたいなもんです。

 

僕と同世代の先生方も学生と話してたらつい「え!?○○も知らないの?!」て言いそうになることがあるでしょう。これも時代の流れで仕方のないこと。心で思っても口に出しちゃあ野暮でございます。缶切りや栓抜きの使い方が分からないとかで驚いてはいけません。眉間にシワ寄せて頬骨上げてダミ声て「こんばんわ〜」と言ったら誰もが森進一と分かった時代は終わったのです。

 

そういえばドラえもんが好きな5歳の我が子にうちの奥様が昭和期のドラえもんの動画を見せたら「ドラえもんの声がザラザラで違う!スネ夫の声も変!ホンモノの方がいい!」と怒られたそうです。大山のぶ代バージョンのハスキーボイスで「ぼくドラえもん」「タケコプタ〜」とモノマネしても子どもたちにはもう伝わりません。

 

12年前くらいでしょうか。地上デジタル化になるちょっと前あたりからテレビを見ない学生、アパートにテレビが無いという学生が出てきて一人暮らしといえばテレビ&ビデオデッキ(テレビデオ)、オーディオ機器購入はマスト世代の僕は大層驚いた記憶があります。全部パソコン1台あれば事足りると。

 

それも今時になるとテレビが無い、見ないのは当たり前でもう生まれたときから実家にテレビが無い学生もいます。家にテレビが無い!もはや力道山時代リバイバルです。そうなると老若男女が知ってる「国民的」スターも共有できなくなっていて、マジな話、ビートたけしや明石家さんまや知ってるかと聞いても普通に「あ〜…あの司会とかしてる人ですか?」「名前だけは知ってます…」みたいな学生もいます。

 

藤井聡太二冠が芸能人はタモリしか知らないってのも幼少時代から将棋ばっかりやってるとかじゃなくてあれくらいの世代なら普通なんじゃないかと。

 

だから億万長者のYouTuberがいてアクセス稼ぎの人間のクズが急増してるんですね。一攫千金できるとこに天才と極悪人あり。金にならないところには時代遅れの人か、そこが本当に好きな人以外は去っていく。

 

さらに今はテレビどころかCDを買ったことがない、自宅にCDを聞く装置もないのが当たり前。ノートパソコンにもCD入れる場所無いですし、パソコンどころかタブレットかスマホがあれば充分。だからといって学生にはサブクスの月1000円は高いそうです。音楽はお金を払うもんじゃなくて能動的に聞くもんでもなくて流れているものが耳に入ってくるもの、みたいになってることなのかな?聞く人によってはすべての音楽はミューザック?「全ての音楽はムード音楽。ロックンロールも反抗的なムードになれる音楽」と仰ったのは岸野雄一さんでしたっけ。

 

(※いや学生みんながそうっていうことではないですし本や音楽や映画やアートが好きな学生もきっとたくさんいますが、身の回りの学生と話してたらそういう声もよく聞くので一般的な傾向としてはあるのかしら)

 

さて、コロナ禍襲来寸前の今年2月、お店のトイレを和式から洋式ウォシュレットに改装しました。お店を今の場所に引っ越した16年前、1階席にトイレを男女兼用の1つしか設置できないので和式か洋式かの選択を迫られて当時は洋式が苦手な男性や男性と便座を共有したくない女性も多く、さらに飲み会で覚えたての酒を飲み過ぎてリバースする学生も少なくなかったので後始末と掃除のし易さを考えて和式にすることにしたんです。

 

(ちなみにトイレの部品ていうのはほとんど中国で生産されてるので3月〜4月くらいはコロナの影響で部品が届かずその時期に新築の家やトイレを改装したところはトイレが完成せず大変だったそうな)

 

しかし、令和になって遂に「和式でトイレができない新世代」が登場。そこに「洋式ウォシュレット生活に慣れすぎてもう和式ができない旧世代」さらに後輩に一気を強要しない派閥、スピリッツ系の酒を飲めない派閥、全く酒を飲まない派閥、もしくは店で飲まない宅飲みストロングゼロ派閥の「アルコールハラスメント撤廃世代」が加わった連立政権が誕生してリバースも全滅したので和式内閣は遂に退陣に追い込まれました。

 

そういえば5歳になる僕の息子も生まれてから和式トイレで用を足したことありませんし来年から通う小学校のトイレはもう全部洋式になっているらしいです…すごい!

 

今では自動でフタが開いて自動で流れるトイレのある家で生まれ育ってそれが当たり前になっている子どもたちもいるので、自動じゃないトイレに入って用を足して流さずに出てしまったり、トイレに入って「フタが開かない!」と立ち尽くしてパニックになる新世代も現れたりしてね。

ウォシュレット、タンクレスと進化を続けてますが将来和式でも洋式でもない新しい形のトイレって誕生するんでしょうか。今まで思いつかなかった形状のトイレ。「なんでこの形を思いつかなかったんだろう!」みたいな。逆にコロナでの衛生改革で「便座にお尻をつけない」和式が再評価されたりするかもしれません。先進国で「WASHIKI」が大流行。

 

ちなみに僕は安心してトイレできる場所じゃないと不安になるので夏フェス、キャンプ、海水浴、登山などは壮絶な覚悟で挑みます。

 

あるヒット曲の歌詞でおばあちゃんは「トイレにはそれはそれはキレイな女神様がいるんやで。だから毎日キレイにしたら女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで。」と言ったそうですが、神様!僕はいつも店のトイレ、家のトイレ、猫のトイレを掃除しています。だからカッコいい中年になれますか?!

 

ていうことで今日の1曲はトイレ繋がりていうことでスクリーミング・ジェイ・ホーキンスで「Constipation Blues(便秘のブルース)」。キバってるだけで歌になるってすごい!

 


◯僕らのローカルシティポップ【爆裂地方都市】

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執筆者プロフィール

モカ
学生街のブラッスリー『JO-HOUSE 石引』2代目カレーマスター/私設公民館『じょーの箱』大家さん。もうすぐ若者ぶらずにおっさんの武器も使えるいちばん旬なとき、さみしさは昔よりも現実味おびてきたね…でも明日はくるSweet Sweet 43 Blues。

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