モーニングは尾山町でミギカレー|煩悩を断ぜずして咖喱を得るなり #08
現役時代のイチロー選手が、ルーティーンの一環として毎朝カレーを食べていたのは有名な話。
なんでもカレーに含まれるスパイスが交感神経を刺激する(やる気が出る)ほか、脳の血液量が増加することで、集中力も高まるんだとか。
「朝にカレーを食べると脳が活性化する」なんていう噂にも、しっかりとした科学的根拠があったんですね。
そんなわけで今回は、とびっきり美味しいモーニングカレーを食べに、尾山町の喫茶店『メルツバウ』にやってきました。
尾山神社のたもと。神社の階段を降りてすぐ、向かって左手にある。
奇跡的な復活を遂げた、名物喫茶。
朝7時半のオープンに合わせて、モーニングを求めるお客さんがぞろぞろっと入場。コロナ禍で数こそ減りましたが、ゲストハウスやドミトリーに宿泊する観光客の姿も見られます。
タマゴサンドやオムライスなどの軽食に、手作りのスイーツや焼き菓子など、メニューは朝からテンションが上がるものばかり。モーニングはドリンクにトーストと小鉢2品がついた通常のセットのほか、カレーセットなんかもあります。
ドリップコーヒーのテイクアウトもやっているので「朝食の後にちょっと街ブラしたい」なんてときも、便利なんですよね〜。
奥に向かって細長くなっている店舗。角を曲がった先にもスペースあり。
ドイツの芸術家クルト・シュヴィッタースが制作した、建築物(芸術作品)が店名の由来。
喫茶『メルツバウ』が誕生したのは1975年。現代美術に造詣が深く、自身も作品制作を手がけていた初代店主のもとには、数多くのアート好きや芸術家の卵たちが集まりました。
現在、お店を切り盛りするのは奥様の青山理圭さん。ご主人が急逝し、惜しまれつつ閉店した喫茶を、周囲の期待に応える形で2014年に復活させました。
とても気さくな青山さん。猫好きの一面も(実際の営業中はマスクを着用しています)
お店の看板メニューにもなっている「ミギカレー」は、初代店主のカレーとハヤシのレシピを受け継いだもの。
「昔からの常連さんや久しぶりに来られた方に、懐かしさを感じていただけたら」と、いつまでも変わらない味を心がけているそうです。
ミギカレー
ミギカレー 770円
「カレーライスとハヤシライス。どっちも食べたい!」という、食いしん坊?なお客さんの要望で生まれたミギカレー。
スパイシーなチキンカレーが右側に、やさしい甘さのハヤシライスソースが左側に注がれています(左ヒラメに、右カレイ。ではなく、左ハヤシに、右カレー。と覚えるといいかも)。
食べ方は「ご自由に」とのことですが、筆者のおすすめはラリー式。ちょっと辛めのカレーと甘くて酸味のあるハヤシを交互に食べると、口の中がリセットされて飽きずに楽しめるからです。
素材の旨みや甘味が溶け込んだ、シンプルながら奥深い味わい。
二日酔いの朝にもおすすめ。
ミギカレーの最大の特徴は、朝から食べても胃がモタれないこと。
その理由のひとつとして、油をまったく使っていないことが挙げられます。大量の玉ねぎと鶏ムネ肉(ハヤシは牛肉)をスパイスとひたすら煮込むこと3〜4時間。素材の旨みや甘味がルウにしっかりと溶け込んでいるので、ノンオイル特有の物足りなさは一切感じません。
また、カレーとハヤシをせき止めるように盛られたライスには、能登島で栽培された向田ほたる米を使用。これがまた噛むほどに甘味が増して、辛めのカレーとの相性も抜群なんです。
青山さんのご主人が試行錯誤を重ねてたどり着いた味。パンチの効いた辛さがクセになる。
ハヤシもあるでよ〜!
食後には自家製プリンをぜひ。カラメルのビターな味わいとカスタードの甘さがマッチした、懐かしい味わい。高岡市の農園から仕入れたという、こだわり卵の風味も生かされている。350円。
ちなみに朝ミギカレーセットは、ドリンクと選べる小鉢がひとつ付いて770円。11枚つづりのコーヒーチケットを購入すれば、実質730円でミギカレーが食べられる計算になるので、リピートしたい方にはそちらの購入を強くおすすめします!
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喫茶 メルツバウ
石川県金沢市尾山町1-25 青山ビル1F
TEL.076-255-3036
営業時間/7:30〜15:00(土日祝は8:00〜)
定休日/木曜日、不定休あり
席数/テーブル23席
駐車場/近隣にコインパーキングあり
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)