煩悩バンザイ!石川県がもっと
楽しくなるウェブマガジン「ボンノ」

親子三代の歴史あり。和風だしが香るカレーうどん|煩悩を断ぜずして咖喱を得るなり #10

カレーうどんが日本に誕生したのは明治後期。東京・早稲田にあった「三朝庵」というお店が、当時大流行していた洋食屋のライスカレーに対抗して作ったのがはじまりとされています。

 

昔ながらのカレーと和風だしの庶民的な味。それと相反するように、ほどよく効いたスパイスの男らしさ。嗚呼、汗だくになりながら、思いっきりカレーうどんをすすりたい!

 

というわけで今回は、野々市市にあるカレーうどんの名店『獅子家』を訪ねました。

 

ラウンドワン金沢から車で3分。旧北国街道「本町通り」にある。

親子三代で守る、うどんの味。

十数年来のファンでありながら、じつは筆者が『獅子家』を訪れるのは一年ぶり。

 

カレーうどんの文字が書かれた提灯を尻目にのれんをくぐると、カウンターには地元の常連さんがずらり。コロナ禍どこ吹く風といった繁盛ぶりで、相変わらず地元に愛されているなぁという印象。親子三代で受け継いだ味を地元の人たちが守る姿は、どこかうれしく感じます。

 

そもそもお店を経営する小林さん一家が地元愛にあふれた人たち。店名はこのあたりの伝統である獅子舞にちなみ「獅子舞と祭りを愛する町の人たちが集まる場所に」という思いも込められています。

 

ランチタイムはカレーうどんをはじめ、丼ものや定食など種類が豊富。排煙用フードを見てもお分かりの通り、夜の時間帯は焼肉も提供している。

 

店内の一角ではうどんのつゆに使われるだしや薬味なども販売している。

 

今回、カレーうどんを作ってもらったのは三代目の小林将巳さん。高校卒業後、県内の料亭や割烹で研鑽を積み、6年前に家業入り。現在は両親と共にお店を切り盛りしています。

 

後継者不足によって閉業を余儀なくされる飲食店が多いなか、これから何十年にもわたってカレーうどんの味が受け継がれていくことは、ファンとしてもありがたい話です。

 

こちらが三代目の小林将巳さん。

 

じつはカレーうどんが名物になったのは、父・慶一さんの代から。「もっと多くの人に食べてほしい」と、それまでのレシピをマイルド路線に改良したところ、一躍人気メニューとなったそうです。

 

それではさっそく、いただいてみましょう。

 

能登豚カツカレーうどん

能登豚カツカレーうどん1,250円

 

レパートリーは10種類以上、トッピングも豊富な『獅子家』のカレーうどん。その中から筆者が選んだのは、そこに極厚のカツが乗った「能登豚カツカレーうどん」。ガッツリ派におすすめの一杯です。

 

まずは、スープをひとくち…。うん、これこれ。だしが効いて辛さも控えめ、だけどもスパイシーなこの感じ。記憶がよみがえると、急に食欲が湧いてきました。

 

二代目が試行錯誤したカレールウは、複数のスパイスと小麦粉を油で炒めた完全オリジナル。そこに初代直伝の和風だしを溶かし、ほどよい濃度になったら具材(豚肉と玉ねぎ)を入れてスープが完成します。

 

自家製の熟成うどんに、だしの効いたカレーが絡みつく。子どもにも人気の優しい味わい。

素材と熟成にこだわった自家製麺。

そして、このスープとタッグを組むのが『獅子家』の代名詞にもなっている完熟うどんです。

 

「こだわったのはコシと柔らかさのバランス。ちょっとだけ長めに寝かせることで、ちょうどいい弾力と粘りが生まれるんです」と小林さん。

 

もちもちと柔らかい金沢うどんと、しっかりコシの強い讃岐うどん。このふたつの長所をミックスした食感。使用するのは国産小麦と能登塩のみという、素材へのこだわりもしっかりと味に現れています。

 

つるっと軽快な喉ごしが楽しめる完熟うどん。冷やしで食べても美味しい。

 

もちもちした食感と甘みのある肉質で知られる能登豚。脂がサラッとしているので、見た目のボリューム以上にあっさりと食べられる。

 

一味の3倍の辛さといわれる八幡屋磯五郎のバードアイで辛さを調整。かけすぎ注意!

 

ちなみに筆者のイチオシは、ごはんとうどんを半分ずつ盛った「ハーフアンドハーフ」。ごはんとうどん、どっちも食べたい!と迷ったときは、ぜひ試してみてください。

 

おうち派の方たちには、あつあつの状態でテイクアウトできる「お持ち帰りセット」もおすすめですよ。

 

カレーうどん 獅子家

ししや
石川県野々市市本町1−3−1
TEL.076-246-5367
営業時間/11:00~14:00、18:00〜21:00(L.O.)※売り切れ次第終了
定休日/月曜日(祝日の場合は翌休)
席数/カウンター10席、座敷12席
駐車場/8台
※こちらの情報は取材時点のものです。

 

 

(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)

WHAT’S NEW新着記事