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ディープな酒場に南インドの風が吹く|煩悩を断ぜずして咖喱を得るなり #26

三度の飯より咖喱好き。カレーをこよなく愛するライター吉岡が、煩悩のおもむくままに地元石川のカレーを食べ尽くす!

 

金沢中央味食街と並ぶ“ディープな飲み屋街”として知られる木倉町やきとり横丁。その一角に、本場仕込みの南インド料理を提供する、間借りカレーのお店があります。

 

その名も『Tannir(タンニール)』。昨年秋にオープンしてからずっと気になっていましたが、今回ようやく訪れることができました。

界隈の食通をも唸らせる本場仕込みの味

 

『Tannir』があるのは横丁の真ん中あたり。「卍」の文字が書かれた白い暖簾が目印となります。

 

普段は「卍郎」という焼鳥屋が営まれている場所。定休日となる日曜から水曜の内、日曜と月曜の夜が『Tannir』の営業日となります。

 

「卍」といえば、仏教やヒンドゥー教では幸運や吉兆を象徴する文字。なんだか縁起が良さそうですね。

 

 

もともと食への探究心が強く、美味しいと評判のお店を行脚するのが趣味だったというオーナーの桃さん。『Tannir』を開いてからも研究熱心なところは変わらず、今年春にはインドに赴き、現地の家庭で料理修行をしてきたそうです。

 

桃さんが得意とする南インドカレーは、さらっとした口当たりとスパイシーな味わいが特徴。インドカレーと聞くとナンやチャパティを想像する人も多いかと思いますが、南インドでは基本的に主食として米が食べられています。

 

 

「最初の頃は色んな国や地方のレシピを調べてカレーを作っていたのですが、次第に自分が理想とする味の輪郭がはっきりと見えてきて。毎日でも食べられるヘルシーなカレーを目指しているうちに、南インド料理に行き着いたんです」と桃さん。

 

「日本に媚びない現地の味」といった想いを大切にしながら、独自の感性で作り上げたカレーを現地の家庭で習った手法で仕上げています。

弾けるようなスパイスの存在感

コリ マッパス 900円

 

南インド料理といえば定食スタイルのミールスが有名ですが、飲み客も多い「Tannir」ではアラカルトが中心となります。

 

週替わりでメニューが変わるという本日のカレーは以下の4種類。

 

・コリ マッパス(チキンのココナッツカレー)

・マトン コトゥカリ(マトンのキーマカレー)

・マラバール フィッシュ(魚のカレー)

・エンナイ カッチリッカイ(ナスのカレー)

 

どれにするか迷いましたが、今回はコリ マッパスを注文してみました。

 

 

事前にマリネしたチキンは、火入れを最小限にすることで、肉のうま味を損なわないよう配慮。そこにじっくりと炒めた玉ねぎのコクと甘味、さらにスパイスの風味が加わり、ココナッツがそれらを優しくまとめています。桃さんが自身で育てたカレーリーフも絶妙なアクセントに。

 

使用する調味料は塩だけ(スパイス除く)でも、作り方次第でこれだけうま味を堪能できるものなんですね。余分なものを使っていないので、身体にスッと入っていく感覚で食べられます。とはいえ見た目以上にスパイスが効いているので物足りなさも感じない。完璧です!

 

ごはんセット 350円

 

ごはんは香りの豊かなバスマティライス。パラっとした軽めの食感でカレーとの相性も抜群です。米粉の入ったライスパパド(アパラム)も美味。

 

ムッタ ロースト 450円

 

現地の家庭の味を受け継ぐ一品料理は、酒のつまみにもぴったり。実際にバル的な感覚で一品料理やカレーをつまみに飲みに訪れる人も多いと言います。

 

ココナッツ風味のコクのあるマサラにゆで卵を絡めたムッタローストは、酒のつまみにはもちろんカレーにトッピングするのもおすすめ。しっかりとした味付けなので、筆者これひとつでビール3杯は余裕でいけます。

 

ポテト ワルワル 450円

 

こちらはローストスパイスをまとったベビーポテトのドライタイプ。スタータースパイス的に使われたダル(豆)の風味が香ばしい、クセになる味わいでした。

 

これだけ本格的なのに値段は良心的なのも、さすがはコスパに優れた良店が集まる“やきとり横丁”ならでは。みなさんもぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 


 

Tannir(タンニール)

住所:石川県金沢市木倉町6-4 やきとり横丁内 [地図]
営業時間:18:00〜22:30(L.O.)
定休日:日曜、月曜日のみ営業
駐車場:近隣にコインパーキングあり
instagram:@momoyoindi.anmeal

 

撮影:林 賢一郎

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