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素材の旨みがしっかりと味わえるネパールカレー|煩悩を断ぜずして咖喱を得るなり #09

カレーといえばインド、インドといえばカレー。

 

とはいっても、国土面積が日本の9倍近くある国なので、地域によってさまざまな特徴があります。

 

スパイスの使い方から、肉、魚、豆、野菜などカレーに入れる具材も地域によりけり。主食に関しても、小麦の産地ではナンやチャパティが主流である一方、稲作が盛んな地域ではライスをよく食べます。

 

ひとことでインドカレーといっても、気候や風土、民族や宗教などの違いによって、その内容はガラリと変わるんですね。地域によって味や具材が変わるという点では、日本の味噌汁と似た感覚かもしれません。

 

そんなわけで今回は、美味しいインドカレーが食べられると評判の、インド&ネパール料理専門店『アシルワード』を訪ねてみました。

 

場所は金沢市香林坊「せせらぎ通り」の中腹。

現地人も認めるインドめし。

『アシルワード』がオープンしたのは2012年。現地のシェフが作るインドカレーやネパールの惣菜など、本場の味が楽しめるお店として不動の地位を確立。最近は、ミシュランプレートを獲得したお店としても話題になりました。

 

「インドカレーとナンで腹一杯」というデフォルトな使い方だけでなく、ビールを飲みながらアラカルトをつまんだり、ちょい飲みが利くのもポイント。昼間っから飲むムスタン(ネパールビール)、最高なんですよね〜。

 

昨年からは、ランチタイムにビリヤニセットも提供していて、これもまた格別の美味しさです。

 

2017年に現店舗に移転してリニューアル。一階にはイラストレーター・安斎肇氏が描いたガネーシャのイラストも。

 

ガネーシャはヒンズー教の神。商売繁盛の神様として知られている。

 

お店を経営するのは千葉諭さんとセーヌさんご夫妻。そのふたりが、絶大な信頼を寄せるシェフがいます。

 

それがプロモジ・シェフ

 

豪快な包丁さばき、丁寧な下仕事、タンドール窯の扱い、繊細なスパイス使い、などなど。その腕前は都内で働くインド人シェフの間でも名前が上がるほど。千葉さん曰く「このレベルのシェフはインドでも簡単には見つからない。それだけは覚えておいてね」と、インド人のお客さんに忠告されたことが何度もあるそうです。

 

現在はプロモジ・シェフ(右)を中心に、3名のシェフが厨房を支えている。

 

そんな『アシルワード』が大切にするのは、スパイスによって食材の美味しさを引き立てること。

 

「たとえばインドでもっともポピュラーな食材のひとつであるカリフラワー。そこに適量のスパイスを効かせることで、カリフラワーってこんな美味しかったっけ?と、感じていただける料理を目指しています」と千葉さん。

 

「新鮮な食材を丁寧に調理して作られる良質な食事」という、ミシュランプレートの選定基準を満たしたのも、そうした千葉さんの信念があるからこそ。インドやネパールの言葉で「恵み」を意味する店名には、自然の恵みをしっかりと味わえる料理を伝えていきたい、という想いも込められています。

 

アシルワードセット

アシルワードセット1,000円。

 

今回、紹介するのはランチタイム限定の「アシルワードセット」

 

カレー2種類とナン、ターメリックライス、サラダ、ヨーグルト、アチャールの7点セット。インドカレーはチキン、野菜、豆、キーマの4種類の中から選ぶことができます。

 

レシピそのものはとてもシンプルで「大雑把に言えば、玉ねぎを油でじっくりと炒めて、そこへスパイスと具材を入れるだけ(千葉さん)」と、小麦粉を使うことは一切なく、野菜や豆、肉や魚などの食材とスパイスがすべてのカレーの軸となります。

 

また『アシルワード』では、鍋に浮いた余分な油をすくって除去しているそう。「インドカレーを食べたあとは、どうしても胃がもたれ気味になる」という人も多いかと思いますが、ここのカレーを食べても重たくないのは、そういったひと手間があるからなんです。

 

本日のカレーは、ブラックペッパーチキンカレーと赤いんげん豆のカレー。辛さとマイルドさのメリハリが効いている。

ナン派?チャパティ派?

筆者がこの店を推す一番の理由は、めちゃくちゃナンが美味しいから。

 

モチモチすぎず、パリパリすぎない絶妙な食感で、やめられない止まらない。バターでギトギトしすぎていないので、小麦の味もしっかり感じます。

 

ちなみにカレー好きの間で、しばしば意見が別れるナン派とチャパティ派ですが、そこらへんの見解は千葉さんのnoteの記事が面白いので、気になる方はそちらをぜひチェックしてみてください。

 

精白された小麦粉(強力粉)にミルクや卵などを混ぜて作られているアシルワードのナン。タンドール職人の腕の見せ所だ。

 

タンドール(窯)は、香ばしく焼き上がる「炭火」にこだわり。

 

全粒粉と水と少量の塩のみで作られるチャパティ。ティナータイムのみ提供。うどんより蕎麦、白米より玄米派の筆者は無論チャパティ派。

 

インド人からも「家庭的な味や!」と絶賛される『アシルワード』のインドカレー。世界にも認められた、滋味あふれるスパイスの魔力を、ぜひ堪能してみてはいかがでしょう。

 

 

アシルワード
石川県金沢市長町1-4-59
TEL.076-262-2170
営業時間/11:30〜15:00、18:00〜22:00
定休日/月曜日(祝日の場合は火曜)
席数/テーブル30席
駐車場/近隣にコインパーキングあり

※こちらの情報は取材時点のものです。

 

 

(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)

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