絶景あり、グルメあり。手取キャニオンロードはサイクリング初心者におすすめ!
石川県の自然をとことん満喫するべく始まったシリーズ企画「野外部」。
朝夕すっかり涼しくなったこの季節はロングライドするのにもってこい!というわけで今回のテーマはサイクリング。昨年5月に取材した野々市の自転車屋「Velow’s」のご主人がおすすめしていた手取キャニオンロードを走ってまいりました。
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北陸鉄道石川線 鶴来駅
フラットな自転車道で走りやすい!
まずは今回のサイクリングの相棒であるデザイナーの伊奈くんを迎えに行くため、北陸鉄道石川線の終着地「鶴来駅」へ。なんでも始点の野町駅からであれば自転車と一緒に乗車できるらしく、金沢の街中に暮らす伊奈くんはそれに乗ってくるとのこと。自転車を分解せずに輪行できるのはじつに便利です。
道の駅 しらやまさん
ちなみに多くのサイクリストたちは、手取キャニオンロードのスタート地点「道の駅しらやまさん」や手取川河口の駐車場まで自転車を乗せて、そこから走っているんだとか。
手取キャニオンロード
手取キャニオンロードとは、手取川の中流域にある「道の駅 しらやまさん」から、山麓エリアにある「道の駅 瀬女」までつながる自転車道のこと。
旧鉄道の廃線敷を利用して整備されているので、山間地を走るとはいえ起伏はなだらか。筆者のようなミニベロでも問題なく走ることができます。片道19.6km(走行時間の目安は約2時間)とそれなりの距離はありますが、休憩地点もたくさんありますし、キツかったら途中で折り返すこともできます。
金名橋から眺める手取川
なんといっても見どころは霊峰白山が誇る、美しく壮大な景色。沿線には手取峡谷の絶景をはじめ、のどかな田園風景、滝や池などの景勝地が点在していて、のんびりと自然の中を走ることができます。もう少しすると木々も色づき始めるので、上の写真とはまた違った景色が楽しめるはずですよ。
鳥越地区の田園風景
案内板や看板が随所に立っているので道も分かりやすい。
腹ごしらえもツーリングの醍醐味。しかも往復40kmも走るとなると相当なカロリーを消費するので、水分補給だけでなく適度な食事が必要になってきます。
筆者のおすすめは蕎麦。キャニオンロード沿線にある鳥越地区は蕎麦の産地として知られ、何軒もの蕎麦屋が凌ぎを削っています。当然ながらどのお店もクオリティは水準以上。胃の負担も少ないので、食後もしっかりペダルを漕ぐことができます。
長助の一揆そば
中でも筆者のお気に入りは「長助」の一揆そば。一般的な蕎麦の2倍ほどはあろうかという太めの麺に甘めの出汁が絡んで、これがまた旨いんです。
つなぎに芋をたっぷり使っているので田舎そば特有のボソッとした歯ごたえはなく、滑らかな舌触りが楽しめるのもポイント。カリッと揚がった草餅もこの店ならではです。
黄門橋から眺める手取峡谷
山あり谷あり!絶景のオンパレード。
断崖絶壁の手取峡谷にかかる「黄門橋」は、峡谷の中でも最も狭い位置にかけられている橋。峡谷とその奥に控える白山の姿をセットで楽しめます。黄門橋の近くには日本の名水百選にも指定される「弘法池」もあります。
ちなみに手取峡谷の眺望スポットとしては、さらに3kmほど走った先にある「不老橋」もおすすめ。そしてここからは、不老橋近くにあるキャニオンロード最大の名所「綿ヶ滝」に立ち寄ります。
綿ヶ滝いこいの森
綿ヶ滝
綿をちぎって落としたような勢いであることからその名が付いた「綿ヶ滝」。32mの高さから水しぶきをあげて落ちるその姿はダイナミックで力強さに溢れています。滝壺の近くまでつながる階段はとても急で岩場もあるので、向かう場合は最新の注意を払いましょう。
マイナスイオンをたっぷり吸って疲労回復に努めたあとは、ここから一気にゴール地点の「道の駅 瀬女(せな)」を目指します。
道の駅 瀬女
30分ほど走ってようやく「道の駅 瀬女」に到着。このあたりはさすがにちょっと坂道もキツくて、途中にある「白山下サイクルステーション」で折り返そうかと思いましたが、なんとか無事にたどり着くことができました!
白山すぎのこ温泉
帰り道はゆるやかな下り坂がメイン。じっとり汗ばんだ身体を流すために、ここらで温泉にも立ち寄るのもありです。
筆者のイチオシは「白山すぎのこ温泉」。ヒノキの湯船がふたつのみと小規模ながら、源泉かけ流しの天然温泉で泉質もばっちり。疲れがよく取れると評判で、遠方から湯治に訪れる人もいるそうです。
ほかにも「道の駅 瀬女」の目の前にある「比咩の湯」や、バードハミング鳥越内にある「弘法の湯」など、キャニオンロード沿線は温泉も充実。時間に余裕のある人は湯めぐりも同時に楽しんでみてはいかがでしょうか。
山法師の大判焼き
さらに5kmほど走ったあたりで小休止。行列のできる屋台「山法師」の大判焼きで、エネルギーを補給します。ハンガーノック(長時間にわたる激しいスポーツにより極度の低血糖状態となって身体が動かなくなること)にならないためにも、こういった手軽にテイクアウトできる甘味はありがたいです。
里山と田園地帯を縫うように走り抜ける手取キャニオンロード。ペダルを漕ぐごとにゆっくりと移り変わるその景色はどこか懐かしくもあり、白山麓の自然をたっぷりと満喫することができました。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎、吉田章仁)