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全国屈指のキス釣り名人にプチ弟子入り!キスは足で釣るって本当?

こんにちは。最近、釣りにハマっているヨシヲカです。狙う魚はズバリ「キス」。どこでも釣れるし、食べても美味しいし、魚へんに喜ぶというハッピーな名前もなんか好き。まだまだ駆け出しですが、いつか大量のキスを釣り上げて、刺身や天ぷらを仲間たちに振る舞ってみたいです。

 

そんなわけでキス釣りのいろはを調べるためにSNSをディグっていると、なんと石川県に全国屈指のキス釣り名人がいるではないですか。百聞は一見にしかず。名人のキス釣りを見て学ばせてもらおうと、さっそくコンタクトを取ってみました。

これからの季節は良型のキスがよく釣れる?

氷見市の島尾海岸。本来は名人のホームであるかほく市の海岸で取材を行う予定だったが、シケにより急遽変更となった。

 

釣り素人の図々しい依頼にも関わらず快く取材に応じてくれたのは、全国のキス釣り大会で数々の実績を残している大野正浩さん。その活躍が認められて、現在は釣り具メーカーの「がまかつ」や「山豊テグス」のフィールドテスター(※)としても活動しています。

 

※ 釣具メーカーと契約し、製品の魅力や使い方を発信するアンバサダー的な存在。実際にフィールドに出て開発中のロッドや釣り糸などのテストも行なっている。

 

新潟県出身の大野さん。かほく市に移住した後、20代の半ばでキス釣りを始めたそう。

大野さん、おはようございます。朝早くからわざわざすみません。

大野さん

いえいえ、僕たちにとってはいつものことなので。それじゃ海の様子を偵察しに、さっそく投げてみましょうか。

お願いします!

大野さん

それじゃ仕掛けを準備しますね。

えっ!ちょっと待ってください。キス釣りの針ってこんなに小さいんですか?僕が使っているのと全然違うんですけど

大野さん

これは大会などで私がよく使う3号針。たしかに一般的なキス釣り専用の針と比べると小さいですね

どうしてわざわざそんなに小さい針を使うんですか?エサも付けづらそうだし…

大野さん

キスは口が小さいので針もそれに合わせる必要があるんです

たしかに!キスの口って小さいから針を外すときも大変なんですよね

大野さん

これくらいの針だと小さなキスはもちろん、針を吸い込んだ大きなキスもかけられるんです。釣り針に関して「小は大を兼ねる」というのが私の考え方。エサも慣れたらすぐ付けられますよ

「針はなるべく小さく」ですね。忘れないようにしないと

大野さん

初心者の方は3号までいかなくても4〜5号の針を選んでみてください。それだけでも釣果が変わるはずです

さすが名人!飛ばしますね〜

大野さん

キスがいそうな手前のポイントを狙っているので、これでも軽く投げている方なんですよ

そうなんですか。キス釣りの大会って飛ばしてナンボのイメージがあるんですけど、そういうわけじゃないんですか?

大野さん

もちろん飛ばした方がいろんな場所にアプローチできるので有利なんですけど、それよりも大事なのはキスのいるポイントを早く、正確に探し当てることなんです

なるほど〜。ちなみにキスってどういう場所にいるんですか?

大野さん

季節や天候によっても変わるんですが、できるだけ深くなっている場所を探すのが大事。それこそ「キスは足で釣れ」という格言もあるように、ひたすら歩きまわってキスの居場所を探すのが釣果を伸ばすコツでしょうか。

釣りって忍耐強く待つイメージだったんですけど、キス釣り関しては違うみたいですね。でも、深くなってる場所ってどうやって分かるんですか?

大野さん

深場は他よりも色が濃く見えます。逆に浅場は砂の色で白っぽい。その他にも波の動きや立ち上がり方でも地形を把握することができます。そうした海の中を観察するためにも、水面からの反射光を遮断してくれる偏光グラスの着用は必須。太陽の光から目も守ってくれますからね

ふむふむ

大野さん

あとは仕掛けを投げたときにオモリが底に着くまでにどれくらい秒数がかかったか。リールを巻いたときに海底の起伏によってオモリの抵抗をどれだけ感じるか(※)。このへんは慣れてくれば徐々に感覚が掴めてくるはずです

※キスの群れは海底の急な斜面(かけ上がり)に集まると言われている。

 

大野さん

あっ、アタリが来ましたね。うんうん形もマズマズ。今の時期は冬を越すためにエサを荒食いするので、良型のキスが釣れやすいんですよ

アタリが来ただけでキスのサイズまで分かるんですか

大野さん

ヨシヲカさんはいつもどんな糸を使っているんですか?

えっと、ネットで買ったちょい投げセットに巻かれていたナイロン糸をそのまま…

大野さん

それだったらぜひ糸をPEラインに変えてみてください。キス釣りを始めるには投げ釣りの入門セットのようなもので問題ないんですが、糸をPEラインに変えるだけで飛距離も出るし、なにより釣りの醍醐味であるアタリの感覚がダイレクトに伝わってきます

「糸はPEラインに」ですね。忘れないようにメモっときます

大野さん

いや〜、それにしても釣れて良かった。せっかく来ていただいて一匹も釣れなかったらどうしようかと思いましたが、ひとまずホッとしました

 

わずか2投目でキスを釣り上げてくれた大野さん。海の状態が決して良いとは言えない中で、結果を残すあたりはさすがの一言。その後、休憩がてらにキス釣りの魅力などを聞いてみました。

季節を問わず一年中楽しめるのもキス釣りの魅力

そもそも大野さんはなぜキス釣りを始めたんですか?

大野さん

釣りを始めたのは石川県に引っ越してから。かほくの海岸を歩いていたら仕事仲間がキス釣りをしていたんですよ。かほく市は石川県内でも有数のキス釣りのメッカ。それから自分もはじめてみようと道具を揃えたのがきっかけですね

名人と言われるレベルまで達するにはどんな努力が必要なんですか?

大野さん

大きく変わったのは、大会に出場するようになってからですね。全国各地に遠征してキス釣りのスタイルを勉強しました。たとえばこのオモリは競技を始めた頃に自作したものなんですけど、少しずつ改良を重ねてずっと使い続けているんです

これ自作なんですか

大野さん

最初の頃はアタリの感覚を掴むのに苦労したけど、今では小指ほどのピンギスでもアタリの感覚が伝わってくる。スタイルを変えずに試行錯誤することで見えてくるものがあるんです。そうした粘り強さも大切かもしれませんね。競技者としては負けず嫌いな性格もプラスに働いた気もします(笑)

大野さんが考えるキス釣りの魅力ってなんでしょう?

大野さん

手軽な所ですね。ちょい投げ用の釣竿と仕掛け、あとは数百円のエサを買っていけば、そこらへんの砂浜ですぐに始められる。スーパーで買うとそれなりの値段がするキスも、調子が良ければ何十匹と釣れることもあります。子供と一緒に始めるならキス釣りはおすすめですよ

たしかに今日も親子連れが多いですね

大野さん

その一方で競技性もあるのがキス釣りの魅力。同じ場所、同じ条件下で仕掛けなどに工夫を凝らしながら、それぞれのスタイルで競い合う。それが本当に楽しいんです

クーラーボックスと一体になった大野さんの釣り道具セット。よりスピーディーに釣りができるようカスタマイズが施されている。

釣り人として石川県のどんなところに魅力を感じますか?

大野さん

四方を海に囲まれた能登半島は地形の変化に富んでいるので、どこかしらの海は良い条件になっているんです。たとえば今日なんかもかほくの海はシケてたけど、これが反対側の能登内浦や富山湾の方に行くと穏やかなこともある。フィールドの選択肢が多いのは魅力ですね

なるほど〜

大野さん

それと石川県では一年中キス釣りが楽しめるのもポイント。冬の時期も水深が急に深くなる奥能登に行くと脂の乗った越冬ギスが釣れる。一年中竿が出せるのは釣り人にとっては嬉しいことですよね

最後にこれだけどうしても聞きたかったんですが、おすすめのキス料理を教えてください

大野さん

天ぷら、フライ、塩焼き、刺身、なんでも美味しいキスですが、おすすめはそろばんです。鱗と内臓を取ったキスを骨ごとぶつ切りにして、氷水で締める。しっかりと水気をとったら、ワサビ醤油でいただく。シンプルですが、キスの身が締まって本当に美味しいんですよ。ポイントは小さめのキスを使うこと。成長したキスは骨が硬くて、食感が良くないんです

ありがとうございます。さっそく今度キスを釣ったら試してみたいと思います!

大野さん

キスは釣った後も美味しく食べられるのがいい所。我が家ではもはや主食みたいになっていますが、いまだに飽きないですね(笑)

 

キス釣り名人との会話を通じて感じたのは、ものすごく研究熱心だということ。20年以上のキャリアを誇りながら「今もなお勉強中」という大野さんの言葉に、キス釣りの奥深さを感じた晩秋の朝でした。

 

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撮影:林 賢一郎

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