キャンパー必見!白山市のガレージブランド「INAVANCE」が人気を集める理由
得意の切削加工技術を活かしたキャンプギアで注目を集める、白山市のガレージブランド「INAVANCE(インアバンス)」。国内のガレージブランドで構成される“M16”にも参加するなどその知名度はもはや全国レベルですが、ここにきて代表作の蚊取り線香ホルダー“MIKADZUKI”のミニバージョンがグッドデザイン賞を受賞するなど、絶好調モードに突入している感があります。
そんなわけで今回は「INAVANCE」を展開する、イナバエンジニア代表の稲葉誠さんを直撃。キャンプギアとものづくりに対する思いを聞いてみました。
INAVANCEってどんなブランド?
イナバエンジニアは、航空機や医療機器の部品をはじめとする製品加工の分野で活躍する会社。その要となる切削加工技術を最大限に活かす形でINAVACEのギアは開発されています。
一般的にはプレス加工や溶接によって作られるような部品でも、切削加工によって美しく精緻に削り出す。中にはあえて研磨せずに、切削加工したアルミの肌をそのまま見せているパーツもあるそうです。
工場内の様子。同時5軸加工に対応した高性能なマシニングセンタを導入するなど設備も充実している。
小型のLEDランタンやハンガーなど様々なアイテムが吊り下げ可能。INA HOOK 1,650〜2,200円
INA HOOKですね。タープとかテントの斜めにかけられたガイロープでもちゃんと固定されるから便利なんですよね。なにより見た目もカッコイイ!
稲葉さん
ありがとうございます。このINA HOOKは僕も思い入れがあるギアなんです。生業とする非鉄金属加工業は、いかに図面通りに精度の高い仕事をするかがとても大事。それに加えてINAVANCEでは、デザインや機能性を考える設計の要素も必要となります。すべてに関わったものが認められるのはうれしいですよね。
稲葉さんがギアを開発する時って、何を一番に考えているんですか?
稲葉さん
僕が開発するギアはすべてキャンプ場での発見や気付きが、制作のきっかけになっているんです。すべてのギアに一貫している軽量・コンパクトな設計も、もともと僕自身がバイクでキャンプをするのが好きだったから。車と比べてバイクは積載量が断然少ないですから、少しでも荷物を減らす必要があるんです。
いかに荷物を減らすかはキャンパーの永遠の課題ですよね。
稲葉さん
MIKADZUKIに関しては、個人的に蚊取り線香そのもののデザインが好きで。それを主役にできないかという思いもありました。縦置きにしたのも渦巻きがより見えやすくなるからなんです。
三日月の形をしたアルミ削り出しの蚊取り線香ホルダー。MIKADZUKI 13,200〜19,800円(写真提供:INAVANCE)
これが見た目以上に軽いんですよね。最初に手にした時は本当にびっくりしました。しかもパーツが格納できるからめちゃくちゃコンパクトという。
稲葉さん
目指しているのは世界的ブランドとして知られるHelinoxのような、コンパクトでシンプルなデザインの中に、ものすごく高い機能性が込められたものを作ること。ギアを開発するときは常にそういった意識を持っています。
将来的に作ってみたいギアはありますか?
稲葉さん
今後の展望としてはキャンプシーンだけでなく、暮らしの空間にも取り入れられる商品も開発していきたいと思っています。その一環としてMIKADZUKIのミニバージョンも開発しました。専用のホルダーを付ければお香立てにもなるので、日常的に楽しんでもらえるとうれしいですね。
手の平サイズと19グラムの超軽量でアウトドアシーンに「絵になる快適」を実現。MIKADZUKI MINI 14,300円
そんなクラフトマンシップに溢れるINAVANCEですが、まだまだ機能性と審美性に優れたプロダクトがあります。
見た目も機能も充実!その他のおすすめギア
INA HANGER 9,130〜12,100円
折りたたむと厚さ13mm、長さ115mm、重さもわずか34gというINAVANCE節全開のアルミハンガー。 「SUPをするときに胸ポケットからサッと取り出してライフジャケットをかけられるような、かっこいいハンガーが欲しくて」と稲葉さん。軽量コンパクトで持ち運びがしやすいので、アウトドアシーンはもちろん登山家にもおすすめのアイテムとなっています。随所にマグネットが埋め込まれ、ピタッと吸い付くような感覚で収納できるのもこだわり。
EDGESTAND HANGER 5,500〜6,050円
キャンパー御用達のランタンスタンド、Mac Outdoor Japan社が取り扱うALDEBARAN社製EDGE STAND用に開発されたアルミ削り出しのハンガー。EDGE STANDのポール同士の連結部分やポールのトップ部分に設置することができ、さらに360度回転も可能。シェラカップやLEDランタン、ガストーチなどを自由な方向に掛けることができます。こうした上級者向けのギアを開発する所もINAVANCEが人気を集める所以でもあります。
ONES TABLE 20,900〜31,350円
アウトドアチェアの不朽の名作として知られるカーミットチェア専用のドリンクホルダー付きサイドトレイ。着脱は工具いらずでワンアクション、左右どちらでも装着が可能です。これがあればグルキャンなどで「わいのマグカップどこに置けばいいんやろ」という状況にも陥る心配がなさそう。テーブルの素材となるオークとウォールナットの削り出しまで自社で行っているところにもこだわりがうかがえます。
INAVANCEのギアはどれもコンパクトでシュッとした印象ですが、これは精巧な削り出しという確かな技術があってこそ。長年にわたり培った切削加工技術がスタイリッシュなデザインを可能にしているのです。稲葉さんの妥協を許さないものづくり精神こそが、真のキャンパーたちを虜にしているのではないでしょうか。
INAVANE(インアバンス)
住所:石川県白山市相川町1877 [地図]
TEL:076-274-9656
HP:https://www.inavance.jp/index.html
撮影:林 賢一郎
どうしてキャンプギアを作ろうと思ったんですか?
稲葉さん
もともとキャンプが好きで、友人たちとよく山に遊びに出かけていたんです。そんな時に参加したグループキャンプで、タープに吊り下げたLEDランタンが自重でずり落ちてきたことがあって。「こんなときに固定できるものがあれば便利なんだけどな」と友人たちと話したのがきっかけでした。
ふむふむ。
稲葉さん
それから試行錯誤しながら、自社工場でアルミを削り出して作ったのがこのフック。あくまで自分のために作ったものなのですけど、キャンプ仲間がInstagramに投稿したら反響がすごく大きくて、市販することに決めたんです。