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お刺身、ピザ、串カツ、老舗バー。今宵は『せせらぎ通り』ではしご酒

せっかく街に飲みに出歩くなら1軒だけでなく2軒、3軒。時間と財布が許せば4軒、5軒とはしごをしたくなるのが呑兵衛の悲しき性。というわけでやってきたのは、金沢片町エリアの中でもハイセンスな店が集まる場所として知られる『せせらぎ通り商店街』。日本からアジア、欧米まで世界中の食文化が入り乱れるストリートを飲み歩く!

 

小径沿いに鞍月用水が流れる金沢らしい街並み。

一軒目:うれし野

昭和風情のネオンが光る。

 

1軒目は和物と決めていた。瓶ビールと一品料理で景気を付けながら、女将さんや常連客との会話を2軒目以降の店選びのヒントにする。そんな目論見でいた。でも、こういった店はどうにも初見では入りにくい。常連だらけのアウェイな雰囲気で飲みたくないし、なにより味の点で失敗をしたくない。頼れるのは自分の勘だけ。そんな感じでしょっぱなから迷える子羊のように彷徨っていると「寄り道コース2,000円」と書かれた看板を発見する。食のオアシス『うれし野』。寄り道という言葉にホーム戦のような温かさを感じ、暖簾をくぐることにした。

 

女将さんはこの道50年の大ベテラン。

 

中に入ると常連さんが二人いた。どちらも何十年も前から金沢の街を飲み歩く猛者。いきつけの店や金沢の飲屋街の変遷などに耳を傾けていると、いつしか店の歴史に話題が移っていた。「女将さんが店を始めたときはこのあたりにまだ映画館がたくさんあってね」。ちょっと待った。たしか表の看板には「時とともに1965年」と書いてあったはず。てっきり女将さんは2代目だと思ってたけど、20代の半ばに店を開いて今は80歳になるらしい。なんと若々しいことか。ちなみに若さの秘訣は「片思いすること」なんだとか。

 

寄り道コース2,000円。

 

「寄り道コース」は女将さんが市場で仕入れた新鮮な魚介の刺身と一品料理、瓶ビールの3点セット。一品料理の中では、とくに女将さん手作りの鶏レバーの甘辛煮が旨かった。「俺の嗅覚は今日も冴えている」とドヤ顔とともに店を後にする。

 

 

うれし野
石川県金沢市香林坊2-11-5
TEL.076-233-1650
営業時間/17:00~23:00
定休日/日曜、祝日

 

二軒目:ビストロ オリーヴ

ヨーロッパの街角に来たかのような小粋な佇まい。

 

和のもてなしを堪能したので、今度はワインとアラカルトで一杯やりたい。というわけで訪れたのは、川嶋さん夫婦が経営するアットホームなビストロ『オリーヴ』。いそいそと店の中に入り、用水のせせらぎを眺めながら食事ができる窓側の席へ。ミニマムとミディアムの間のちょうど良い規模感に、さっそく居心地の良さを感じる。

 

デートでも普段使いにも気軽に楽しめる。

 

地元の食材を使った季節感あふれる料理に定評のあるお店。とりあえず20種類以上ある前菜の中からサーモンのカルパッチョを、さらにおつまみマルゲリータとグラスワインを注文する。グラスワインは7〜8種類。パリッとした食感のマルゲリータは、ちょっとしたおつまみとワインで一杯やりたいときにはぴったりかもしれない。

 

サーモンのカルパッチョ1,300円、グラスワイン650円。

 

おつまみピッツァ マルゲリータ750円。

 

ちなみに隣の席では家族4人が仲良くディナー。アクアパッツァ、煮込み料理、パスタ、リゾットなど美味しそうな料理がテーブルに運ばれていく。今度はしっかり食事を楽しみに来よう。そう思わせる店だった。

 

 

ビストロ オリーヴ
石川県金沢市香林坊2-12-34
TEL.076-231-0819
営業時間/18:00~22:30
定休日/月曜日

 

三軒目:串揚げいやさか 金沢せせらぎ通り店

 

ど平日ながら活気のあふれる店内。

 

酒も入って良い気分になったら賑やかな店に行きたくなってくる。となればこの界隈では『串揚げいやさか』が筆頭かもしれない。なんといっても安くて旨いのがこの店の魅力。そりゃ人も集まるわけだ。アツアツの串揚げは1本100円から。山芋をたっぷり使ったサクサクの衣と、地元の醤油を合わせたソースが絶妙に絡み合う。人気の串カツなど具材は30種類前後。個人的なおすすめは後味さっぱりのガリささみ(200円)だ。

 

ソースの二度漬け禁止は串カツ屋の醍醐味。

 

「キンキンに冷えた瓶ビールをお客さん同士で酌み交わして欲しい」という思いから中瓶を380円という破格の値段で提供するのも粋。昔ながらの水冷式のケースで保管するこだわりで、串揚げと客同士の会話を引き立てる名脇役となっている。この日のテーブル席はほとんどが仕事帰りと思われるスーツ姿のサラリーマン。差しつ差されつでグラスにビールが注がれていく様子は、やっぱり見ていて気持ちが良いもんだ。

 

お客さんが楽しそうだと、忙しくても自然と笑顔がこぼれてしまう。

 

ここでは差しつ差されつの古き良き酒文化を堪能したい。

 

串揚げ以外のメニューが少ないのは、金沢にはしご酒の文化を浸透させたいという店主の計らい。「メニューがありすぎると自分だけの店で完結してしまうから、串揚げを堪能したら他の店に移ってください」とまで言ってしまう懐の深さは恐れ入る。しかも昼飲みができるよう土日は12時から営業しているのもうれしい限りだ。

 

 

串揚げいやさか せせらぎ通り店
石川県金沢市長町1-3-57
TEL.076-260-5594
営業時間/平日17:00~24:00、土曜12:00〜24:00、日曜12:00〜22:00
定休日/無休

 

四軒目:GOLD STAR

オーセンティックな雰囲気に酔いしれて。

 

お腹も満たされたので、最後は少し落ちついて飲める場所へ。ということで、たどり着いたのは金沢屈指の老舗バー『GOLD STAR』。創業は1957年。このあたりではハントンライスが有名な洋食屋の「グリルオーツカ」と同い年になる。扉を開けると心地良いジャズが流れ、気さくなマダムが温かく出迎えてくれる。老舗のバーと聞くとどうしても近寄りがたく感じてしまうけど、ここは気取らないスタイルでそうした雰囲気は一切ない。

 

落ち着いて飲むにはもってこいの場所。

 

ジンのロックを頼むとマダムが「タンカレー No.10」をおすすめしてくれた。普通はライムなどが入ってたりするものだけど、これはそのままで柑橘系の爽やかな香りがする。その次はラムを飲み、そのあとはもう覚えていない。飲みすぎて酔っ払ってしまったのではなく、マダムの会話と店の雰囲気に酔いしれてしまったからだ。

 

マダムの息子さんも片町でバーを経営しているらしい。

 

 

GOLD STAR
ゴールドスター
石川県金沢市長町1-1-61
TEL.076-231-2779
営業時間/18:00~深夜
定休日/日曜日

 

これにて「せせらぎ通り」でのはしご酒は終了。老舗で始まり、老舗に終わる。金沢の飲み文化の歴史をちょっとだけ感じることができた気がする。

 

※こちらのすべての情報は取材時点のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

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