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加賀から世界を健康に!ブロッコリー農家の新たな挑戦。

ビタミンやミネラル、タンパク質などを豊富に含む、栄養満点なブロッコリー。今年に入って指定野菜(日本人の食生活にとって重要と国が認めた野菜)に追加されることが決まるなど、今後ますます注目を集めそうです。そんな中、加賀市のブロッコリー農家が新たな挑戦として、機能性野菜の栽培に取り組んでいるとの情報をキャッチ。一体なんのために、どんなものを育てているのか。さっそく農園にお邪魔してきました。

加賀市はブロッコリーの名産地!

 

やってきたのは加賀市の山間にある水田丸地区。じつは加賀市はブロッコリーの栽培面積と出荷量ともに北陸トップクラスで、その量はなんと年間600トン近くにも上るそうです。カガッコリーちゃんというイメージキャラクターもいたりと、市を挙げて力を入れているのが伝わってきますよね。

 

さてさて、このあたりに今回取材をご依頼した、ブロッコリー農家の下出幸緒さんがいるはずなのですが…。

 

あっ、いたいた!下出さ〜ん

下出さん

あ〜、どうもどうも。遠いところまでわざわざ来てくださって

これって全部下出さんの畑ですよね。どれくらいの広さがあるんですか?

下出さん

65ヘクタールかな。始めた頃は10ヘクタールも無かったんやけどね、近所の農家さんが畑や田んぼを辞めていく中で、受け継いでいったらどんどん大きくなっちゃって

いつ頃から農業を始めたんですか?

下出さん

30歳を過ぎた頃。それまでサラリーマンをしてたんやけど、家が代々農家だったから、そろそろ受け継ぐかって感じやね。正直、農業をやるなんて思ってもなかったなぁ

農地を受け継いだんですね

下出さん

どこからそんな自信が出てきたのか分からんけど、周りがどんどん廃業していても、自分なら上手くやれると思ったんだよね

下出さんが力をいれる機能性野菜とは?

どんなものを作っているんですか?

下出さん

全体の6割がお米で、3割はブロッコリー、あとは大豆、かぼちゃ、大麦、花なんかも育ててますね

最近は「機能性野菜(※)」の栽培にも取り組み始めたと聞きました

下出さん

面白そうなものは試験的にでも取り組むのが僕のスタイル。これまでにも色んな作物に挑戦しては失敗を繰り返してきたけど、それも経験の一つとして後から活きてくるんだよね

具体的にどんなものを育てているんですか?

下出さん

今、育てているのはグリーンパパイヤ。ビタミンやミネラルだけでなく、消化酵素が豊富に含まれていて、美容や健康に効果的だと言われとるんです

※ 健康を維持したり、発がん性物質の有害作用を緩和するなど、体に良い作用を与える成分が多く含まれている野菜または品種のこと。

 

グリーンパパイヤの苗木

ほかにはどんなものを?

下出さん

去年の秋にケロッコ(ケールとブロッコリーを掛け合わせた野菜)を植えてみたんやけど、今年はもっと量を増やすつもり。あとは秋になったらマカ(必須アミノ酸や不飽和脂肪酸など多くの成分を含んだ南米ペルー原産の植物)にも挑戦したいと思ってて、まだ計画段階だけど楽しみだよね

機能性野菜の生産は世界中で注目されているトピック。これからますます需要が高まりそうですよね

下出さん

ブロッコリーもそうだけど、カラダに良いと言われているものを育てるのは農家冥利につきるよね。まずはしっかりとコツを掴んで、安定した供給を目指さないと

でも農地を占有する以上、少なからずリスクのある挑戦だと思います。そこのへんはどう考えていますか?

下出さん

やっぱり他の農家さんがやってないことに挑戦する楽しさは何物にも代え難い。ブロッコリーなんかは他の農家さんと知識を共有し合って作れるけど、新しい作物は独学で育て方を調べないといけない。その試行錯誤がまた面白さでもあるんやけど

なるほど〜

下出さん

同じ作物を作り続けていても思い通りにいかない年もあるくらいだから、農業は本当に奥が深い。まさに日々勉強やね。この先何十年と続けても、納得のいくことは無いんじゃないかな

課題はたくさんある。だからこそやりがいがある。

農家さんって大変なんですね

下出さん

そうやね〜。ただ、自分の能力に合わせてやり方を工夫できるし、実際に僕よりも小さな面積で利益を出している農家さんもたくさんいるから。やり方次第で成功する可能性があるのが農業の良いところやね

機能性野菜の栽培のほかに、なにか挑戦したいことはありますか?

下出さん

最近は、土壌改良にも力を入れとるんですよ。というのもこの地域の土は必ずしも質が高いとは言えなくて…

そうなんですか

下出さん

長年農学に携わってきた方たちの協力を受けながら、農薬を使わず良い野菜が栽培できる、連作障害が起きにくい、そんな土を作りたいと思っていて。完成するのはまだまだ先だけど、こだわっていきたいね

地域農業は人手不足と聞くんですけど、実際のところはどうなんですか?

下出さん

加賀市も例外じゃなく高齢化が進んでいて、人手不足の問題は常に抱えとるね。だから耕作放棄地が増えていかないように、地域の農地を維持していかないといけないと思っとるんです

最近は農業に興味のある若い人たちが増えてるイメージなんですけど、そうでもないんですか?

下出さん

増えてはいると思う。ただ、農業は季節によって忙しさが異なるからね。夏から秋にかけての収穫期には人手が不足するけど、逆に冬場なんかは作業が少なくて従業員に仕事を提供するのが難しい。雇う側の問題でもあるんだよね

たしかに

下出さん

だからウチでは冬野菜を作ったり、ビニールハウスで花を育てたり、安定した雇用を生み出すための方法を模索しとるんやけど、そうそう簡単にはいかない問題やね

人とのつながりを大切に、加賀の農業を盛り上げる。

下出さん自身は農業に従事する楽しさって何だと思いますか?

下出さん

やっぱり自然の中で働けることやね。実際にウチで働いている若い子たちも工場やオフィスでの単調な作業を退屈に感じて、転職してくるケースが多いからね

僕も趣味で家庭菜園をしているんですけど、自然の中で体を動かすのは気持ち良いですよね

下出さん

そうそう。あとは作物の成長を見守るのも楽しいね。小さな種から立派な作物が育って、それを収穫して販売したときの達成感は、日常じゃなかなか味わえないから

それでは最後に下出さんの夢を教えてください!

下出さん

まずは過疎化が進んでいるこの地域を農業で盛り上げること。実際、ブロッコリーの売り上げは10年前の倍近くになっていて、その兆しは見えているんです

盛り上げるにはどうすれば良いんですかね?

下出さん

やっぱり人の力が必要だよね。だから農業仲間や新しく参入する若い人たち、さらには他の地域の農家と技術や知識の共有を進めていかないといけない

ふむふむ

下出さん

スマート農業や機械の導入によって作業効率を上げることも必要だし、地元の若者が農業に興味を持って従事しやすい環境を作ることも大切。加賀にはパワフルで面白い人たちが多いから、そうした人たちの輪をどんどん広げて、加賀の農業を盛り上げていきたいですね

 

人と人との点が線となり、面となる。加賀ブランドの野菜が日本、そして世界を席巻する日が来るまで、そう遠くはないのかもしれません。

 

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撮影:林 賢一郎

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