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ワインが合う?元洋食屋コックが作るこだわりのたこやき

たこやきは日本が生んだ最高のジャンクフード。海外では〈サムライボール〉なんて名前で呼ばれていて、日本に訪れた外国人観光客の中には「スシよりもサムライボールが食べたい」という人も結構いる。ちなみにサムライボールの名付け親は横山ノックだそうで。タコ踊りが持ちギャグの元漫才師(2007年に他界)なんだけど、若い人たちは知らないかなぁ。

 

山中温泉にある『つぼ家』

 

築90年の古民家をリノベーション。

元洋食屋のコックが経営するたこやき屋がある。

 

そんな情報を聞いて駆けつけたのは、加賀温泉郷の一角にある山中温泉。松尾芭蕉も絶賛したといわれる、自然豊かな鶴仙渓を有する県内屈指の温泉地だ。お店があるという住所に辿り着くと、そこには一軒の古民家が建っていた。

 

「昭和の雰囲気がぷんぷんする古民家で、お店をやるのが昔からの夢だったんですよ」と話すのは、店主の城田義文さん。

 

昭和初期に建てられた古民家を3年かけてリノベーション。知り合いから譲ってもらった古材をパッチワークのように床にはめ込んだり、飲食スペースを広く取るために階段の向きを変えるなど、デザインやレイアウトにもこだわった。店の壁にはリノベを手伝った仲間たちの名前が律儀に刻まれている。

 

セルフリノベした店内。アート色が満載!

 

シックな昭和の雰囲気も残されている。

 

名古屋のホテルや洋食屋でコックをしていた経歴をもつ城田さん。それにしてもなぜ、たこやきなのか。薪ストーブの火をおこしながら、城田さんはその理由をこう語る。

 

「洋食屋のお客さんに祭りのテキ屋の方がいて。使っていない焼き台があるから、たこやきを焼いてみないか?って誘われたんです。これがやってみると楽しくて。昼間はコックをしながら、夜は路上でたこやきを焼いてました」

 

十数年前に家業の造園業を継ぐため地元石川にUターン。仕事が少ない冬場になにかできないかと考えたときに、名古屋時代の経験を活かすプランが浮かんだそう。最初はプレハブ小屋。それから片山津に店舗を構え、2018年の秋に現在の場所に移転した。

 

店主の城田義文さん。

 

外はモチっと、中はふわっと。

元洋食屋のコックだけあって、城田さんが作るたこやきは独創的。とくに素材に対するこだわりは人一倍で、ソースの材料はもちろん天かすやタコなども厳選したものを使っている。

 

「ソースの味に負けないように、生地はしっかり固め。外はモチっと、中はふわっと。そんなイメージで焼いてます。ポイントは中をトロっとさせないこと。そうすると生地とソースが混ざって味がボヤけてしまうんです」

 

塩やしょう油といったあっさり系のソースを勧めるのも、生地の食感と味に自信があるからこそ。試しにソースなしのたこやきを食べてみると。うん、たしかに旨い!

 

じっくり焼いてからひっくり返す。

 

生地だけでもイケるたこやきは、焼き方にも秘密が隠されている。一般的には均等に焼くために引っ越しをしながらくるくると焼くところを、城田さんの場合はほとんど手を動かさない。

 

「膨らみたい!という生地の気持ちに従うのが僕のやり方。なので、完全に膨らむまではじっと我慢します。よく見ると形が楕円形なのもそうした理由から。柔らかくふわっと焼くためにこのスタイルになりました」

 

洋食の経験を活かした独創的なたこやき。

イチオシは極限まで薄く刻んだネギをたっぷり乗せた〈ネギしょうゆ〉。味のベースになるのは七尾の鳥居醤油と地元の醤油。このふたつをブレンドしたものに白だしを加え、にんにくとレモンを漬け込むことで、香りの高いソースに仕上げている。ネギの食感がアクセントになって、より素材の旨みが引き立っている印象も受けた。

 

ネギしょうゆ4個385円。

 

元コックの城田さんらしいメニューといえば、ゴルゴンゾーラも忘れてはいけない。まったりとした濃厚な味わい。これがフレンチのコースの途中に出てきたら、それはそれでありだと思ってしまう。それくらい完成度が高い。ゴルゴンゾーラだけでなく、チェダーやモッツァレラなどのチーズも加えているのもポイント。ブルーチーズ特有のクセを抑えてマイルドな味に仕上げている。はちみつとの相性も抜群だ。

 

ゴルゴンゾーラ6個880円。

 

お好みではちみつをかけて。

 

たこやきに合うお酒ってなんだろう。飲兵衛の筆者としては、どんなお酒が置いているかも気になるところ。

 

「最初に開発したハーブ岩塩、しょうゆ、ソースの3つは、それぞれスパークリング、白ワイン、赤ワインとのペアリングを意識して作りました。名古屋のワインショップから厳選したワインを取り寄せています」

 

ゴルゴーンゾーラやバジルなどの創作系もワインにぴったり。たこやき2種(各3個)とワインがセットになったほろ酔いセット(800円)も人気だ。

 

薪火を眺めながら優雅にグラスを傾けたい。

 

ちなみに2020年からは冬季限定で、金沢安江町の八百屋「香土」の一角でもたこやきを販売するとのこと。月曜以外の平日は「香土」で、土日は『つぼ家』の店舗で営業というスケジュールになるそうだ。

 

 

つぼ家
石川県加賀市山中温泉西桂木町ル-308
TEL.0761-78-2188
営業時間/12:00~20:00(香土は11:00〜)
定休日/月曜日(冬季は土日のみ営業)
席数/カウンター3席、テーブル10席
駐車場/3台
※こちらの情報は取材時のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

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