能登の自然と暮らしにふれるフォトジェニックな女子旅。withコロナ時代へ
旅は人を成長させるといいます。
それは、自分が生まれ育った土地とはまったく異なる文化や風習に触れることで、新しい価値観を知り、視野が広がるから。もし、気の合う友人同士の女子旅でお互いに成長することができたなら。それはきっと一生の思い出となるでしょう。
のと鉄道(穴水町)
古くから海の玄関口として栄え、独自の歴史と文化を育んできた能登地方。
東京から飛行機で約1時間。豊かな自然が創り出す絶景やグルメなど、旅の醍醐味が凝縮したこの地には、毎年多くの観光客が訪れています。
里山里海が織りなす日本の原風景。地元食材を生かした美味しいごはん。素朴で優しい能登人の温かい笑顔。能登を旅すると、思わずシャッターを切りたくなるフォトジェニックな瞬間にたびたび遭遇します。
自然が創った美しい絶景
そのひとつが、世界農業遺産にも認定される〈能登の里山里海〉の大自然。人々の暮らしと自然が調和した景観には、日本人の心を引きつける美しさがあります。
白米千枚田(輪島市)
奥能登を代表する観光スポットとして親しまれる輪島市の〈白米千枚田〉。日本海に面した斜面に1,004枚の田が重なり合った絶景は、国の指定文化財名勝にも指定されています。
水田がキラキラと輝く春、海の青と田の緑のコントラストが映える夏、黄金色の稲穂がこうべを垂れる秋、あたり一面が雪景色となる冬。季節によって表情が変化していくのも千枚田の見どころで、毎年10月から3月にかけて数万個のソーラーLEDが千枚田を彩るイルミネーションイベント「あぜのきらめき」も実施されています。
見附島(珠洲市)
珠洲市の海岸にそびえる〈見附島〉は、能登のシンボル的な存在。正面から見ると軍艦の形に似ていることから軍艦島とも呼ばれています。浜辺には縁結びの鐘があり、夜にはライトアップもされるロマンティックなスポットとして知られています。
見た目もおいしいごはん
里山里海の恩恵にあずかる能登は食材の宝庫でもあります。日本有数の漁港で水揚げされた新鮮な魚介をはじめ、能登の風土を生かした伝統野菜、幻の肉ともいわれる能登牛など、この土地ならではの味覚を存分に味わうことができます。
能登食祭市場(七尾市)
能登のじわもん(地元でとれたもの)をたくさん味わいたい。という人がよく訪れるのが七尾市にある〈能登食祭市場〉。ここでは四季折々の新鮮な魚介だけでなく、能登の自然と伝統が作り出したあらゆる名産品を販売していて、市場で購入した食材をその場で浜焼きにして食べることもできます。
浜焼きコーナー(食祭市場内)
また、能登の食材は料理人をも魅了します。なかには能登の魚や野菜を調理したいがために移住を決断した人もいるほどで。最高の食材と職人技の融合によって生まれた一皿は、ときとして美味しさ以上の感動を与えてくれます。食は旅の醍醐味。せっかくなら素材としっかり向き合うシェフの料理をいただきたいものです。
オリゾンテ(輪島市)
能登ミルク(七尾市)
素朴で温かい能登の人々
能登はやさしや土までも。能登の肥沃な風土を表したこの言葉には、能登で暮らす人たちは素朴で温かいという意味も込められています。シャイだけど世話好きで人情味たっぷり。ちょっと町を歩けば、そんな光景をよく目にします。
朝市(輪島市)
能登有数の観光地として知られる〈輪島の朝市〉も、地元の人たちと触れ合うにはうってつけの場所。朝8時からおばあちゃんたちが「こうてくだ〜(買ってって)」と掛け声をあげる姿は、昨今のコロナ禍の状況において生きる力強さを感じます。
能登の女性はとにかく元気。彼女たちとのやりとりは女子旅にメリハリをつける、ちょっとしたスパイスになるかもしれません。
松波酒造(能登町)
心を無にする癒しの空間
旅に出たときは、自分と向き合う時間を大切にしたいもの。それによって心が自然と癒され、明日からの活力を養うことができます。
そんなときに訪れたくなるのが寺社仏閣。祭礼神事が盛んな能登には、今もなお多くの神社やお寺が残されています。静寂に包まれた神社で神様と心の対話をする。1分、2分、3分と、祈りを捧げるだけで人の心は清らかになります。
気多大社(羽咋市)
羽咋市にある〈気多大社〉は、縁結びや恋結びなどの多くの「気」が集まる、女性に人気のパワースポット。あの前田利家とまつが祈願した能登一の宮でもあります。自然のエネルギーがあふれる〈入らずの森〉周辺は自然も豊か。歩いているだけで五感が刺激されます。
しっかり身体を癒したいという人は温泉へ。七尾市の〈和倉温泉 総湯〉をはじめ、立ち寄り湯が点在しているので、日帰りの旅行でも気軽に訪れることができます。
和倉温泉(七尾市)
そんな魅力あふれる能登ですが、withコロナ時代に向けて「安心して観光できる町づくり」を目指した取り組みが各店や施設で実施されています。
ソーシャルディスタンスやコロナ感染対策は果たしてどう行われているのか。金沢駅観光案内所『能登デスク』の案内人である中山智恵子さんにお話を聞いてみました。
Withコロナ時代の新しい観光スタイルとは
入場前にサーモグラフィで検温
それとは逆に、観光に訪れる私たちができることはありますか?
中山さん
マスクはもちろん消毒液を携帯するなど、それぞれがwithコロナを意識することが大切です。また、なるべく家族や友人以外の人との間に3密の状況を作り出さないよう、マイカーやレンタカーの利用をおすすめしています。
中山さん自身、能登のどんなところに魅力を感じていますか?
中山さん
自然がキレイで食べものが美味しい。けど、なにより地元の人の温かさが能登の良さだと思っています。お料理屋さんに行っても「こうして食べると美味しいよ」とか「こうすると食べやすいよ」とか親切に教えてくれたり、能登の人は本当にやさしいんです。ソーシャルディスタンスを保っていても、心が通じ合っていれば能登人のやさしさは伝わってくるはずです。
どんなところに行けば地元の人たちと触れ合えますか?
中山さん
七尾市の〈食祭市場〉や〈輪島の朝市〉などの市場や、珠洲市にある〈すず塩田村〉のような体験施設、またその地で長く経営されているお料理屋さんに入れば、地元の常連さんたちと仲良くなれるかもしれません。いつも通りに旅をしていれば、自然と能登人の温かさに触れることができると思います。
すず塩田村(珠洲市)
自然と海に囲まれた能登には、写真に収めたいスポットがたくさんあります。ここだけは押さえておきたいフォトジェニックなスポットはありますか?
中山さん
たくさんありすぎて迷いますが、ひとつ挙げるなら〈のとじま水族館〉です。とくに青い世界の中でジンベイザメが泳ぐ姿は迫力満点!ほかにもトンネル水槽やペンギンとのお散歩など、非日常的なスポットが充実しているのでカメラ女子にはおすすめです。
のとじま水族館(七尾市)
「能登の魅力は一度旅をしたくらいでは堪能しきれない。二度、三度と訪れてようやく良さが分かってきた」。これはある旅人が中山さんにかけた言葉。
自然と人との共存によって構築された能登の文化。そうした奥深さが、人としての成長を後押ししてくれるのかもしれません。
能登に旅したくなる動画はコチラ!
(取材・文/吉岡大輔、撮影/山本哲朗、林 賢一郎)
観光シーズンで多くの人が訪れることが予想される中、能登ではコロナ感染対策やソーシャルディスタンスに向けて、どんな取り組みが行われていますか?
中山さん
たとえば温泉宿や観光地では、人と接触せずに体温が計れる検温器を導入する施設が少しずつ増えています。ほかにも入場制限を設けたり、感染防止のガイドラインを作ったり、市場では海産物を透明のフィルムで保護したり、それぞれがコロナ対策に奔走しています。