煩悩バンザイ!石川県がもっと
楽しくなるウェブマガジン「ボンノ」

つながれ友達の輪!私のマスターピース⑮|アーティストREMAHの場合

映画、音楽、本、漫画、はたまたお気に入りのグッズなど。それぞれの心をえぐった「自分的最高傑作」をピックアップして紹介していくリレー企画。今回は、シンガー、演出家、ショップオーナーとして活躍するREMAHさんにバトンタッチ。

 

【リレーコラム】つながれ友達の輪!「私のマスターピース」他の記事を読む

 

皆さん、初めまして。
アーティストのREMAH(レマ)と申します。 前回紹介してくださったラジオDJのChigusaさんからのバトンを、私なりに繋いで行きます。

 

 

10代から歌を歌っています。

年に数回、歌や踊りのショーの演出をしています。

普段は神戸の小さなアトリエで、日常と反対側に繋がる制作の場所を持ちつつ、 ダンサーの旦那さんと2歳の娘のママをしています。

 

さて、今回の私のマスターピースということで、私自身のアートワークやモチベーションに大変影響のあった昭和の巨匠をお二方ご紹介させていただけたらなと思います。

 


左:寺山修司、右:宇野亜喜良

 

私自身が歌い手としてスタートしたのは16歳。

幼少から不自由なく家族に愛情いっぱい育ててもらい、悲しみや不安などからは遠い世界にあったのですが、 自分の自我がしっかり育った頃には段々と自分のいる環境が独特なことに気が付き始めました。どの学校に入り、どのクラブ活動に入り、どの大学に行き、どこに就職をして、どんな人と一緒 になる…がうっすら決まっている。愛情の裏付けに、人生の最後までシナリオがありレールが引かれたような環境だったのです。

 

有り難いことなのかもしれないけれど、そのレールの上に本当の私はいません。そして思春期に入ったころには、いつのまにか家族の愛情すべてに反発してしまう親不孝な少女に早変わりしました。「私しかできないこと」そんなことをずっと考えていたように思います。

 

そんなとき、ひとつだけ自分のなかに自分自身と繋がることができる方法を見つけたんです。それが「歌」でした。

〈金魚が金魚鉢の外に憧れるように〉私のなかにある反発と好奇心と想像力が溢れてしまったのは16歳の頃でしょうか。

 

ただただ外に出たかった10代は、もうそれはそれはひどい生活をしていました。 家出をくり返してナイトクラブに行き歌う場所を探し、 お金がなくなったら日雇いのお仕事をして駅のトイレでセーラー服に着替えて高校に行くような生活のときもありました。とにかく歌って歌って歌っての生活…。憧れと現実に翻弄されて地に足も付かず、ボロボロだったんだと思います。笑

 

 

そんなとき、小さな劇場で古いポスターやチラシを目にしました。 その紙のうえを彩るイラストを担当されていたのが、宇野亜喜良さんでした。 その絵の中の少女の目とそれをとりまく色彩や線のライン。 何故か心が揺さぶられて、その足で宇野さんの作品を探しに本屋へ駆け込み、何冊も彼のアートブックや書籍を買いました。

 

 

家に帰ってゆっくりとページをめくると、その度に出てくる世界に涙が止まらなくなったのを覚えています。
自分のなかのいつまでも切り捨てられない少女性を重ねてしまったのかもしれません。彼の描く少女の目は少し生意気でもあり憎たらしくて、不安げで疑い深くて、不感で世界を見ているようなのに…死んでいないのです。いつまでも心のなかに自分のロマンを理解してくれる人を探している。 その過程で人を信じては傷ついて、強いようで脆いその少女はまだ夢を見ている。

 

 

 

 

そんな少女たちを、美しい線と色彩と彼の世界で優しく守ってくれているような気持になるのです。

 

その絵を見ていると、ホッとして、自信が湧くんです。
ロマンを持って生きる難しさに、静かなハグをくれる人。
君は君で、それでいいんだよってね。

そして宇野亜喜良さんの作品に必ず紐づくのは、詩人の寺山修司さんでしょう。
詩人だけでなく演出家でもあり、昭和の日本を代表する劇作家です。

 

未だこの方々の創り出すロマンに心を鷲掴みにされています。

今ではあの頃の家族の愛も充分に理解して、 娘にはもう少し自由を残した愛情で向き合う毎日です。笑

ママと奥さんとアーティスト。 3足の草鞋を履いて、ロマンに蓋をせず淡々と制作を続けています。

私の一番好きな寺山修司さんの短い詩を最後に、このコラムを次の方へバトンタッチします。

 

「 なみだは
にんげんのつくりだすことのできる
一ばん小さな
海です 」

 

 

私から次にバトンを回すのは年齢の離れた私の心の友、アートディレクターから警備員に転身された三浦俊郎さんです。

現役時代はそれはそれはエネルギー溢れる広告の世界の第一線で活躍され、引退後はあっさりと警備員に転職し、警備員という新しいステージをまたトシさんらしく楽しまれている姿には、私自身、たくさんの事を学びます。情熱のある人は目の前の環境や打ち込むべきモノが変わっても、何一つ変わらず注いで生きて行けるのだなと。
とってもチャーミングでかっこいい大先輩にバトンを繋がせて頂きます。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

今回の寄稿者

REMAH

シンガー、演出家、ショップオーナーなど多くのフィールドで活躍中。

Instagram:@remahntica
Instagram:@atelierrojoart

 

 

○つながれ友達の輪!私のマスターピース

WHAT’S NEW新着記事