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爆裂地方都市⑬|1969年のハーレムと1986年の金沢【映画】

僕らのローカルシティポップ【爆裂地方都市】
爆裂地方都市・金沢の地から、ホコリにまみれた名曲から知られざる新曲までを掘り起こす!石引のカレーマスター・モカさんがカレーの合間にしたためた〈俺だけのディスカバリー〉がここに。

 

映画「サマー・オブ・ソウル〜あるいは革命がテレビ放映されなかった時」観ましたか!?

 

【参考リンク】ユナイテッド・シネマ金沢にて公開中

 

【予告編】

 

 

 

 

 

ウッドストックと同年の1969年の夏、ニューヨークのハーレムの広場にて6週間で30万人以上の観客(ほぼ全員黒人)を集めたブラックミュージックフェスの映像が50年ぶりに発掘!という歴史的資料としての価値を軽く超えた内容で震えました。

 

当時はこの映像を「黒いウッドストック」として放映する計画だったけど誰も興味を示さず商売にならないてことで50年間お蔵入りしたそうな。本当かな?

 

マーサ&ザ・ヴァンデラスの1964年のヒット曲「ダンシング・イン・ザ・ストリート」の歌詞が誤解されて「黒人暴動を煽る危険性がある」と恐れられ全米で放送禁止になったように、当時もし上映、放送されてたらニーナ・シモンの怒りやマヘリア・ジャクソンの叫び、スライの扇動が全米に公開されて黒人たちの革命が起きてたんじゃないか?それを恐れて公開されなかったんじゃないか?…と妄想できるほど。これはヤバすぎて見せられないので門外不出にしよう、みたいな。今まで音楽誌などで「過去にこんなフェスがありました」っていう記事さえも読んだことないので国家機密レベルの抹殺?

 

元々はキング牧師暗殺1年後で怒りの頂点に達してる黒人たちに娯楽でガス抜きさせるためのイベントという説もあるみたいですが、それくらい映像から爆発的なパワーを感じました。

 

でもこの映画が素晴らしかったのは、監督のクエストラブが1969年の夏を生きるハーレムの黒人たちの腹の底や時代背景を知らない人にも分かるように構成し、さらに1969年のフェスがBlack Lives Matter以降の2021年の今日見てる人にも突き刺さるリアルなトピックに磨いたこと、おまけにヒップホップ的というか映像素材をDJのように繋げたり2枚使いしたりカットインしたりしてオーディエンスが2時間ダレずに乗れるように起承転結を作りあげていたことかなと。お見事!

 

てっきりライブ映像がずーっと続く映画なのかと思ってました。これはヒップホップや現代とも繋がってる映画でもあると。

 

あと感じたのが、差別されて貧しい黒人たちにとって音楽が非常に重要で、泣いたり笑ったり踊ったりすることで団結、救済、癒し、開放になってること。ゴスペル。いま、疲れ果ててる日本人は自分たちのゴスペルを欲しているのか。我々にゴスペルはあるのか。

 

しかしあんな夢みたいなフェスがあったんですね。1969年のハーレムに連れてってくれてありがとうございました。

 

Spotifyに「サマー・オブ・ソウル」出演者の代表曲をまとめたプレイリストがあります。

 

 

…と!ここで話題がぶっ飛びますが最近もう1本観た映画の話題を。

1986年公開の『恋する女たち』。

 

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【予告編】

 

主演はドラマ「スケバン刑事」やデビュー曲「卒業」の大ヒットで最新トップアイドルだった頃の斉藤由貴、共演はこれまたおニャン子クラブ「うしろゆびさされ組」で大人気だった高井麻巳子、またまた「スケバン刑事Ⅱ」でブレイクしていた相楽ハル子。

 

原作の小説では設定は北海道だけど映画の舞台は石川県金沢市。撮影も金沢市(&白山市)なので今はなくなった1986年当時の金沢のスポットが確認できる貴重な映像が多数散りばめられています。

 

(以下ネタバレあり!)

 

多佳子(斉藤由貴)が通う銭湯は今はなき東山の「東湯」。

 

多佳子が歩く背景に片町スクランブルの象徴だったミスタードーナツ。

 

多佳子が映画「ナインハーフ」を、多佳子が恋する野球部の勝(柳葉敏郎)があだち充「ナイン」劇場版を観た香林坊スカラ座。

 

多佳子に片想いする神崎(菅原加織)と多佳子が待ち合わせする場所は前年1985年にオープンしたばっかりの香林坊109。

 

多佳子と勝がお茶をするのが辻口パテシエの「ミュゼ・ド・アッシュ」になる前の県立美術館の喫茶店。

 

多佳子が実家の辰口温泉の旅館「まつさき」に帰る際に乗る北陸鉄道能美線。

 

現在は取り壊されて玉泉院丸庭園となった石川県立体育館で開催されたダンスパーティー。

 

多佳子の通う高校のロケ地となった県立工業高校(県工)で実際に行われた昭和61年の学園祭の映像。

 

緑子(高井麻巳子)がディスコ・クイーンとして踊りまくってる繁華街のディスコ(どのディスコか分かる人いたら教えてください!)。

 

他にも卯辰山墓地、梅ノ橋、主計町、石川県立野球場、犀川大橋を渡る北鉄バス、片町アーケード、千里浜なぎさドライブウェイ、W坂(石伐坂)など現在も変わらない場所も確認できます。

 

あと斉藤由貴と同じ高校に通う美術部の絹子役の小林聡美さん、当時21歳だったみたいだけど今と見た目も演技もイメージもほとんど変わらないのは奇跡!

 

ついでに柳葉敏郎さんも当時25歳で高校生役ですが35年前から既にギバちゃんオリジナルの「頬っぺたの内側に舌を当てて膨らませて困惑を表現する演技(原口あきまささんがデフォルメしてるやつ)」をやってるのも見逃せません。

 

気にしなかったら気にならないけど石川県民の設定なのに出演者全員東京弁(標準語)で誰も石川訛りじゃないのはご愛嬌。みんな多忙だったんでしょう。

 

この作品を見てからロケ地巡りをしてるファンも多いみたいで遅ればせながら僕もやってみました。

 

多佳子が姉の比呂子(原田貴和子)と下宿してた設定の建物、35年後もまだありますよ!

 

下宿先として使われた建物。

 

多佳子が乗った北陸鉄道能美線「モハ3761号」は辰口図書館&児童会館横の「のみでん広場」にて展示されてます。

 

のみでんこと北陸鉄道能美線。

 

多佳子の実家の老舗温泉旅館「まつさき」も当時の建物とは違う新館となってコロナ禍を乗り越え営業中。泊まってみたい。

 

辰口温泉 まつさき

 

ラストに近いシーンでメインの3人が振袖を着て野点(のだて)をするシーンの石川県能美郡加佐岬の断崖絶壁も行ってきました。

 

加佐岬

 

アイドル映画と思いきや内容も哲学的で面白いしまだ見てない石川県民の方、とにかく斉藤由貴様がまだ大人になる前 & 度重なるスキャンダル前で殺人的かつ刹那的に可愛いのと35年前のファッションが今の目線でとってもオシャレに見えます。DVDも安いし配信もしてるので是非!

 

 

◯僕らのローカルシティポップ【爆裂地方都市】

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執筆者プロフィール

モカ
学生街のブラッスリー『JO-HOUSE 石引』2代目カレーマスター/私設公民館『じょーの箱』大家さん。もうすぐ若者ぶらずにおっさんの武器も使えるいちばん旬なとき、さみしさは昔よりも現実味おびてきたね…でも明日はくるSweet Sweet 45 Blues。

ツイッター:@MoCurry
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インスタグラム:@Jo_house1972 @mocurry

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