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爆裂地方都市⑥|涙のテイク・ア(ウト)・チャンス〜コロナ激闘MIX〜

僕らのローカルシティポップ【爆裂地方都市】
爆裂地方都市・金沢の地から、ホコリにまみれた名曲から知られざる新曲までを掘り起こす!石引のカレーマスター・モカさんがカレーの合間にしたためた〈俺だけのディスカバリー〉がここに。

 

♪涙のテイクアウトテイクアウト♪今だけは〜…って脳内で歌ってた春。

 

 

「来年のことを言うと鬼が笑う」ということわざがありますが、新型コロナウイルスのなかで毎日お店を続けていると来年どころか来月、いや来週のことを言っても鬼に笑われそうな先の見えなさで、まさにTomorrow Never Knows状態の現状。そんななかでもお客さんからは「頑張ってください!」「応援してます!」と声をかけてもらえるので芸能人のような気分を味わっています。

 

振り返ると安倍首相が休校要請や感染防止の記者会見をしたのが2月29日。翌日から急激にお客さんが来なくなったので、早めにテイクアウト営業を始めたのが3月5日でした。戦々恐々とする現場を知ってか知らずか呑気に「無症状の方はぜひ石川県に旅行に来てください」と宣伝して、県民をズッコケさせた谷本知事が一転して「緊急事態宣言」を発令した4月13日から解除まではテイクアウト専門店の業態に変えました。6月半ば現在はイートインとテイクアウトを両立しながら少しずつ営業時間を延ばしたものの、まだ21:30ラストオーダーの時短営業をしています(本来は23:00)

 

このあと「ドラッグストアは我が世の春 」発言も…

 

飲食店と弁当屋って似て非なるもので、勝手が違いすぎて今まで培ってきたノウハウやルーティンを再構築しなきゃいけなくて、新しいお店にリニューアルオープンしたくらいのバタバタさで1年生からやり直し。振り出しに戻るとなりました。来店注文とネット注文と電話注文が重なったりしたときは、受話器片手にフライパンを振って時折スマホを確認するというターンテーブリスト選手権のようなせわしなさ!なのに送別会、追いコン、歓迎会、新歓コンパ、毎年恒例の出店イベントなど3月4月の恒例スケジュールが100%全部キャンセルになったので赤字というこれぞ「貧乏暇なし」の見本のような日々(今も!)

 

厨房はこんな感じでした

 

緊急事態宣言中は他の飲食店も同様にテイクアウトに生き残りを賭けてどこも魅力的なお弁当を作っていたし、お客さん側も「いつもはテイクアウトしていないあのお店が!」という珍しさと休校やテレワークによる自炊の限界、緊急事態という高揚感も相まって、そこにSNSやブログ、ローカル情報番組やタウン誌も巻き込んで5月をピークに空前のテイクアウト祭りとなりました。

 

が、同業者と話してたらそこに乗っかれないお店もあって、テイクアウト営業をする労力もないし宣伝する術もないから休業する、出来たての料理を一番美味しい状態で食べて欲しくてテイクアウトや弁当で冷めてしまうのが妥協できないから休業する、とにかく感染したくない・誰かに感染させたくないので損失が大きくても休業するなどそれぞれの理由があって休業せざるを得ないお店もあって胸がギュッとなりました。

 

また、ホームページもSNSもやってなかった老舗がアカウント開設してテイクアウト宣伝をし始めたり、創業以来ヒマな時なんてなかっただろうなという名店もホームセンターか通販で急場しのぎで買ったような「お弁当」「テイクアウトOK」と書いてあるノボリ旗を掲げて営業していたり、デートスポットとしても有名なオシャレ店が夏祭りの焼きそばのような容器や和食用の和柄の使い捨て容器にオムライスを入れているのを見てもこれまた胸がギュッとなりました。

 

この「ギュッと」とは違う「ギュッと」です

 

そんな個人経営の小さなお店が死に物狂いで試行錯誤したり泣き寝入りしてるのに、トップが差し伸べる手も文字通り後手後手でアベノマスクだのサービスデザインだの電通だのパソナだのにお金を溶かしまくっていると思うと、三密おかまいなしで一揆を起こしたくなります。今回の件で内閣もですが各都道府県知事の対応を見てたらリーダー選びって本当に大事で誰でもいいわけじゃないんだなということを改めて痛感!今こそこういう非常事態にどうするのかがリーダーの腕の見せ所じゃないですか?火事が起きたときに生徒を置き去りにして真っ先に逃げる先生?いや119番通報したのになかなか出動してくれない消防隊か?南海ホークス(現ソフトバンク)を何度も日本一に導いた名将・鶴岡監督の名言「指揮官の悪い部隊は全滅する」が令和の五臓六腑に沁み渡る!

 

 

vsコロナからwithコロナ、戦うのをやめて一緒に仲良くやっていこうやという足並みにしようとしてるけど、緊急事態が解除されたこれからの方が大変だろうなというのはすでに実感してます。「持続化給付金」「新型コロナウイルス感染症特別融資」「感染拡大防止協力金」「新型コロナウイルス対策 新分野チャレンジ緊急支援費補助金」「新型コロナウイルス感染拡大防止協力金」「石川県経営持続支援金」など色々ありますが、これらが支給されてコロナ禍が落ち着いたとしても「これからはあなたの実力次第、お店が潰れようが自己責任ですよ〜」と言われそうで怖いというか、そんな風潮になって第二波喰らったらさすがに踏ん張れないかもしれんです。今はお店がガラガラでもお店は困るし満席でもお客さんが危ない、じゃあどうしたらいいんだ!と混乱している時期。昨夜キスをしたようなカップルをお店に来た時だけ横並びに座らせても意味がない。

 

先日ウイルス感染症制御学の教授と話してたら「感染者も減って東京や外国から観光客も来ないし今が外出を謳歌するチャンス、観光客が戻ってきて冬になったらまた危なくなるかもしれない」と仰ってました。県民の皆さんは観光客が戻ってくる前に大行列のあのお店に待たずに行けるチャンスですよ!(JO-HOUSEは普段から行列ないけど来てください!)。頭を柔らかく、物は考えようで逆転します。だって今はチャンスを待ってる。

 

 

頭を柔らかくしたついでにコロナの時短営業で気付いたことは、人生のバランスがお店にかたよりすぎだったのかなという思い。午前から午前まで働いて午前に帰宅して午前に寝て午後は全て捧げてた生活から、午後9時に帰宅して10時にパジャマ着てみたらもう戻れないかもしれない!自分の店だしいつ休もうが何しようが自分の自由なのが自営業だけど逆に社長の自分が社員の自分をこき使うセルフブラック企業になるのも自営業。働き盛りといえどもそこもちょっと変えて月に1回は連休取ることにしました。

 

「新しい生活様式」は条例や法律ではないし、守りさえすればいいと盲信するもんじゃなくて、この厳しい現状をどうやって楽しくしてくかのテーマだと思って自分なりの様式を作って生きましょう。お客さんが新しい生活様式になって前に戻れないなら、お店も新しい営業様式を模索しなければなりません。新型JO-HOUSEへ。

 

てことでテイクアウトに続いて通信販売もスタート、さらにレジもレシートもない店ですがキャッシュレス決済も始めました。我々には未来しかないのです。

 

本日の心の一曲

JAGATARA「もうがまんできない」

 

 

もうがまんできない(歌詞)はこちら。
http://j-lyric.net/artist/a050539/l017320.html

 

 

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執筆者プロフィール

モカ
学生街のブラッスリー『JO-HOUSE 石引』2代目カレーマスター/私設公民館『じょーの箱』大家さん。もうすぐ若者ぶらずにおっさんの武器も使えるいちばん旬なとき、さみしさは昔よりも現実味おびてきたね…でも明日はくるSweet Sweet 43 Blues。

URL:JO-HOUSEホームページ
ツイッター:@MoCurry
フェイスブック:@モカ ジョーハウス
インスタグラム:@mocurry

 

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