【NATURAL LIFE】私の夏 #17
地中で植物の根が絡まり合い共存するするように、自然と人も絡まりあい共存していくためには。里山の保全活動を行うナチュラリストの目線で見た、自然にまつわるコラムです。
梅雨があけた。青空の到来である。
海欲
私の家は金沢の奥座敷と言われている『湯涌温泉』。
奥座敷だから山なのだけど、そして私は山が好きなのだけど。普段は山ー!森ー!と仕事して、家の近くの森に癒されているのだが、最近の私はどうだろうか。激しく海を欲している。
海を散策、岩場を歩くだけでめちゃくちゃ疲れた。
空が夏ー!!!!ヤッホーイ!!
ただただ、何も考えずに海に浮いていたい。浮き輪にヒモをつけて流されて、合図をしたら陸に引き寄せて欲しい。
プカプカと浮いていたい。
私にとって海も山も無心になれる場所。
心の状態でどちらに向かうかはそのときの心しかわからないけど、自己分析すると悩みがあったり、何か考えたいときは森が多い。一方海は何も考えたくないときに足が向かうと感じている。
よって私は今、何も考えたくないらしい。
時はきたり、梅よ
今年は長雨続きでなかなか梅が干せなかった。
やっと梅が干せるときがきた。
太陽いっぱい浴びておくれ。
屋根の上にて。
今年は初めて白干梅干にしてみた。梅をひっくり返しながらやっぱり祖母をおもう。梅干しの作り方教えてくれてありがとう。ひとつだけかじってみたけどしょっぱい。
梅の味がする。あたりまえか。
近所のおばあちゃんも干していた。なんか嬉しい。おいしくなりますように。
夜の訪問者
家の寝室にはカーテンがなく外がよく見える。
寝室の間接照明を付けていたら窓にコツンという音が聞こえた。何回も何回もずっと聞こえてくる。何!?と窓を開けると、
ミヤマクワガタが飛び込んできた。
さすが湯涌。違う日、玄関にもミヤマクワガタがいた。何度も言うが、さすが湯涌!山に住んでいるからか友人から頼まれて友人の子供を連れて山へ行く。
そこにはやっぱりミヤマクワガタ。ミヤマクワガタが多いのかな??
子供の頃の私の憧れは『ミヤマクワガタ』だった。ようはなかなか採れなかったと記憶しているのだが…。今年は多いのだろうか。子供の頃は毎日ラジオ体操の後にクワガタ採りに行っていた。虫かごにおがくずを敷いて木を入れて。中には早く死んでしまうものもいた。たくさんいても死んでいく。その都度子供ながらに「死ぬ」「動かなくなる」という喪失感を感じていた記憶がある。生き物との向き合い方を子供は子供なりに学んでいく時代であったと思う。虫との遊びを通してたくさんのことを学ばせていただいた。ありがとう。
先祖を想う
今年はコロナのこともあって(金沢もまた増えてきましたね)お盆をいかが過ごそうかなと考えている。お墓参りには行くのだけど、1泊を兼ねた帰省はしないでおこうと思っている。少しさみしいけれど。毎年あたりまえに家族と過ごせると思っていたお盆だけど仕方ない。どうしても仕方ない。
といっても今年はお盆休みが短い。うちは参らなければならないお墓があちらこちらにあるからそこに行くだけできっとお盆が終わるのだけど。
今年、自分で家系図も作った(さかのぼれるまでさかのぼって6代までわかった!)
今の私が私であることを、私として生またことの不思議。命がつながってきたことがより深まったし、なんといっても楽しかった。え!こんな人いたの?とか真実がたくさんわかった。
日々なかなかできない先祖を想うこと、手を合わすという心は忘れずに過ごしたいと思う。
盂蘭盆会
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執筆者プロフィール
加藤麻美(Rootive 代表)
森と生きるために木を利用し、地球に暮らす人に安心と癒しを提供する『Rootive(ルーティヴ)』代表。里山の保全活動や里山の資源を使ったイベント運営など、多彩な活動を展開。自然が大好きで、特に山をこよなく愛している。
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