【NATURAL LIFE】My Roots #21
地中で植物の根が絡まり合い共存するするように、自然と人も絡まりあい共存していくためには。里山の保全活動を行うナチュラリストの目線で見た、自然にまつわるコラムです。
山のてっぺんが白くなってきた。 朝起きるのがつらい気温になってきて布団が愛しくなる季節である。
白馬村
23 歳の時に白馬村に向かった。
仕事を辞めて白馬村のペンションで働くことになったから。ペンションの名前はオーバーグルグル。名前がかわいいのと(後でスイスの地名と知る)ハーブとアロマが香る宿っていうのが私にとっての魅力であった。
白馬五竜にあるペンションオーバーグルグル。
秋の庭。
薔薇の庭。
そのペンションで住み込みで働きながら休憩時間に滑りにいくという生活をワンシーズンしていた。
今から考えるとよくもまぁ飽きもせずに毎日毎日滑り行っていたなぁと思う。
いろいろなことを教わった場所
ペンションで何をしていたかというと、朝起きてお客様のご飯の準備、配膳、片付け。
終わってから客室の掃除、館内の掃除、終わるのがお昼位でペンションでお昼ご飯を食べてそこからゲレンデに行く。
帰ってきて夕食の準備、テーブルセット、配膳、片付け、まかない食べる、ラウンジ対応という生活。
好きなラウンジの照明。
動きまわった後のビールが格別に美味しかったのを記憶している。
仕事内容には俗に言う花嫁修業となるものが全て組み込まれていたように思う。
料理の段取り、料理の仕方、掃除の段取り、掃除の仕方、縫物も教えてもらった。風邪気味の時は庭のハーブを使ったハーブティーを飲ませてくれたり腱鞘炎になった時も奥さんがアロマオイルでマッサージしてくれたりもした。 家のご飯の鉄則は「簡単、美味しいよ!」と教えてもらった。
私にとっては師匠でもあり、母のような存在でもあった。
1冊の本に出会う
ラウンジにある本棚で 1 冊の本に出会った。題名は覚えていないが(思い出したいのに)ドイツの森林について書かれている本だった。この本を読んだおかげで今の私がある。この本がきっかけで私は森の世界へと入ったのであった。(興味のある方はRootiveのMINDを読んでみてください)
この本に出会ったことで私という人生が動き始めた気がする。
この本棚が私のルーツである。
故郷
白馬村は私の第 2 の故郷。金沢からの距離は私にとって珠洲へ行くようなものであり特に遠さを感じていない。
今でも付き合いは続いていて薪ストーブを囲んでご飯を食べたり飲んだりさせていただいている。
ここでワインも教わった。
奥さんはガーデナーでもあり、バラの時期には館内はバラの香りが充満している。
客室の薔薇。
玄関にも薔薇。
バラジャム入りのヨーグルト。
とっても美味しい。
たまに外で焚火をしたり、星空を見上げたりして私は細胞が溶けていくような感覚になっている。
焚火。
庭から空を見上げる。
薔薇の香りの部屋で仕事をしたり、疲れたら薪ストーブの炎をボーっと見つめたり、星空を見上げたりしている。
自分の好きな場所
私の故郷は能登町宇出津だけど、心の故郷は白馬村である。
そういった大好きな場所が2つもあるのが嬉しいなと思う。母のような存在も母以外にあるのも嬉しいし恵まれているとも思う。
私にとっての白馬村は気合を注入される場所でもあり、凝り固まった頭の中身を溶かしてくれるそんな場所である。 これから何か白馬村で楽しいことができるといいなと企みはじめた12月のスタートとなった。
紅葉と常緑。
紅葉と常緑。
再生して散りゆくものと、常に変わらないもの。
同じことの繰り返しのようで少しずつ変化している。
自然界には生きるヒントが折り込まれている。
私も少しずつ進化して行きたい。
では、次は2021年。
読んでくださっている皆様、また2021年もよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
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執筆者プロフィール
加藤麻美(Rootive 代表)
森と生きるために木を利用し、地球に暮らす人に安心と癒しを提供する『Rootive(ルーティヴ)』代表。里山の保全活動や里山の資源を使ったイベント運営など、多彩な活動を展開。自然が大好きで、特に山をこよなく愛している。
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