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【NATURAL LIFE】モノが手に届くまで #22
地中で植物の根が絡まり合い共存するするように、自然と人も絡まりあい共存していくためには。里山の保全活動を行うナチュラリストの目線で見た、自然にまつわるコラムです。
やる気満々の時に2020年の振り返りと2021年の目標を掲げてしまった。
やる気満々だから2020年の振り返りは厳しめだし、2021年の目標はやる気に満ちている目標になってしまった2021年のはじまり。
木を伐る
木製品が私たちの手元に届くまでどのような過程があるのか?という仕事を今している。今回は仕事の話を書いてみようと思う。
デザイナーの森本くんと林業の現場へ行ったときの話。
山へ向かう。
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株式会社山創さんの協力を得て。
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伐る木をきめているところ。
デザイナーの森本くんは木が伐られるのを見るのが初めてで、大きな木が倒れるのを目の前で見て言った一言が私は忘れられない。
「なんかすごい思う事ある、衝撃」
真相は聞いていないけど、彼の経験の中で何かが変わったんだろうなと勝手に思っている。
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迫力満点。
木くずまみれの森本くん。
語りながら下山。
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林業の未来について語っている山創の戸田さん。
私にとって木を伐るということはとても身近な出来事だけど、普段木に携わらない人は木が伐られているところなんて身近ではない。 たまに、木を伐るって自然破壊に見えると言われることもあるけれど、それは海外のある地域の話であり日本の話ではない。 日本は国土の約7割が森林という緑に覆われている国である。しかしながら使用されている木材は輸入品といったいびつな 状態でもある。これには様々な歴史的背景と現代の効率化などととても複雑な問題となっている。 だから私は国産材にこだわっている。地産地消ではないけれど日本の木をつかってモノをつくりたい。
何をつくる?
山で伐られた木は製材されて乾燥させて加工することができる。
ただ伐っただけでは木材は加工ができない。今回は金沢の木を使ってベンチをつくる。設計士、住宅会社、デザイナー、木工家と様々な業種が集まってのプロジェクト。
ひとつのモノができるまでに様々な工程があるし、試作を重ねて座り心地を確かめて、接続部分をどう加工するのがベストなのかと何回も繰り返す。
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今回つかう金沢の杉材。
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左から稲沢設計室の稲沢さん、 ベンチの設計者でもある百一の塚田さん、家具工房LEONの福原さん。
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あーでもないこーでもないと話し合い
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加工中。
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脚部分。
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ホゾにするかダボにするか相談中。
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置いてみる。
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見つめてみる。
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ビス穴加工をどれにするか迷い中。
とにかく作ってみて検証しての繰り返しである。
できあがるコトの喜び
何度も何度も繰り返すことで、このベンチへの愛着と仲間意識が大いに芽生えるのである。
1人でモノをコツコツとつくるのも悪くないが、私はどちらかというとこういったプロジェクトで沢山の人と話し合いながらモノを 作り上げていく方が好きなようだ。
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座ってみて想いにふける。
寝っ転がってベンチを感じる稲沢設計室の稲沢さん。
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場所を移動しておいてみる。
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座布団やクッションを置くといい感じ!
こうして様々な工程と想いをのせて完成へと向かっていくベンチ。
何かが生まれるということ
私もモノづくりを始めるまで、モノづくりのコトは全然知らなかったし、何かが生まれるということに対して無関心でだった。でも自分がモノづくりをする仕事を始めて私達の手元に届くまでに様々な工程があって、設計する人の想い、職人さんの情熱、それをどうやって見せていくかを考えてくれるデザイナーさん、たくさんの人の想いが詰まって完成する『モノ』。
昨今、フードロスが問題視されているが私は自分が使う『モノ』についても見直していきたいと考えている。 使い捨てや、あまり考えずに買ってしまったモノ達がこれまでどれくらいあっただろうか。断捨離断捨離というけれど、今一度家にあるものを見直して使えるものは使っていきたいし、何かを購入する時に本当に必要かどうか、または長く使えるものかどうかを考えていく時代なのではないかと思っている。
◯自然と人の共生を考える【NATURAL LIFE】
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執筆者プロフィール
加藤麻美(Rootive 代表)
森と生きるために木を利用し、地球に暮らす人に安心と癒しを提供する『Rootive(ルーティヴ)』代表。里山の保全活動や里山の資源を使ったイベント運営など、多彩な活動を展開。自然が大好きで、特に山をこよなく愛している。
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