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ボクの買い物かご|第1回:買い物かご

雑貨屋オーナー中正彦の【ボクの買い物かご】
職業柄、日々いろいろなモノを見て・買っている雑貨屋『Joiner』のオーナーが、実際に購入したモノや気になっているモノなどを取り上げ、その魅力や背景、そしてデザイン性までを語るコラムです。

 

今回より、新たなコラム「ボクの買い物かご」がスタートします。

 

石川県能美市の雑貨屋『Joiner』オーナーである私・中正彦が、気になるモノや、そのモノにまつわる話(関係のない脱線話も…)を毎月つらつらと書かせていただきます。

 

ファッション雑誌などで有名人・著名人のカバンの中身の紹介をする特集ってありますよね(個人的には案外好きです)。それの買い物かごバージョンといいますか、モノだけでなくもっと範囲が広く、且つモノについての深い紹介ができると良いなと考えていますので、今後ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

 

ということで第1回目は、コラムタイトルにちなみ「買い物かご」について書かせていただきます。

 

現在私がメインで使用している買い物かごは、10年以上前に諸国民藝 備後屋さんに紹介していただき、わざわざ現地を訪れて買い求めた篠竹市場かごです。

 

篠竹製の市場かごというのは、岩手県北部の一戸町鳥越地区で江戸時代から作られるかごで、とても丈夫でしなやかな篠竹を、内側と外側の両方を見せて編み上げる「合わせ編み」の技術を使って編んでいるものです。古くから日本人の生活の中で愛用されてきた暮らしの道具として現代の普段使いにも適しており、今の自分の気分にもぴったりフィットした買い物かごです。

 

古くから現代まで作られ使い続けられてきた実用的な使い勝手の良さは、日本のヘビーデューティを代表する道具のひとつではないでしょうか。

 

篠竹市場かご

 

フィールドワークで実際に制作現場を見学させていただいたのですが、使用されている篠竹は主に東北地方など寒冷地に育つ細い竹で、これを鉈で四つ割りして外皮の部分だけをヒゴ取りして作られているそうです。市場かごはしなやかで軽く形崩れしない堅牢さが特徴です。

 

出し入れする口部分は籐(ラタン)巻きで、底部分は真竹を幅広に取った力竹で補強されています。丁寧に作られており、機能的にも意匠的にも素晴らしい仕上がりです。

 

篠竹市場かごの裏側補強

 

使い込むうちに形が徐々になじんでいき、中身の偏りもなく、最初は青々とした篠竹も時間の経過と共に色合いが落ち着き、段々と味わい深い風合いの飴色のツヤと輝きに変わります。

 

篠竹市場かごの経年変化比較

 

そして海外でも同じように、いろんな素材や形で作られた市場かごのようなモノが存在しています。

 

ベトナム買付け時に見つけた、シーグラス(水草)で編まれたマチがないペタンとした買い物かごバッグも、サイズ違いで使っています。

 

ベトナムシーグラスバッグ

 

他にもラオスの真竹の皮の部分を薄く削いで編まれたバンブーマルシェかごも使っています。こちらは日本の市場かごに似た形ですが、とても軽く簡素な作りが気に入っています。

 

ラオスバンブーマルシェバッグ

 

ただ残念なことに、日本同様このような手仕事で作られる味のあるかごバッグ類は、だんだんとプラスチック製品に置き換わり、廃れてなくなっていっています。

 

だからこそボクは天然素材で作られたこれらの買い物かごを使い続けたいし、何よりただ単純に造形がカッコいいんです。

 

この買い物かごにフランスパンを裸でブチ込んで、風に飛ばされてきた英字新聞でローファーの汚れを拭き、ダッフルコートに手を突っ込んで、買い物帰りの並木通りを闊歩したい…!という妄想まで浮かんできます。

 

それともうひとつ、現在「やたら編み(乱れ編み)」の山葡萄かごバックを奥会津の編み組細工の作家さんに特注で制作していただいてます。

山葡萄のかごは一生ものとして高級なイメージですが(実際十万円オーバーが一般的)、ボクが今回特注しているのは、山葡萄の素材そのままに乱れ編みされたもので過剰な高級感もなく、同じものがひとつとないオンリーワンの買い物かごです。

完成してから、一生に渡り使い込むことによる経年変化も楽しみです。

 

 

山葡萄かごバッグ制作状況

 

高級という意味では、ルイ・ヴィトンやエルメス、ゴヤールなど、ラグジュアリーブランドのバッグもイイのですが(実際ボクも持っています)、使うほどに自分になじみ愛着が湧く手仕事で作られた買い物かごはコレに勝るとも劣らないモノだと思います。

 

実際にエルメスのバーキンはセルジュ・ゲンズブールがジェーン・バーキンにプレゼントしたかごバッグに由来します。
ジェーン・バーキンはエルメスに自分の名を冠したバーキンを贈られるまでは、季節や場所、目的など一切お構いなしに何処へ行くにもこのかごバッグを持参し愛用していたそうです。

 

セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキン(出典:VOGUEより)

 

このゲンズブールが贈ったかごバッグは、ポルトガルのアルガルベ地方のウォーターケーン(葦の一種)で編まれ作られていたのですが、以前ロンドンの蚤の市でデッドストックで発見し大事に飾っています。

 

ウォーターケーンかごバッグ

 

それとは対照的に、バカっぽいカラーリングで安価(30NT$=100円)な台湾の問屋さん林豊益商店で見つけた漁師網バッグもお気に入り。

 

台湾漁師網バッグ

 

ーーと、書き切れない程のネタを買い物かごに詰め込んで始まった新連載。

次回はコレに書き切れなかった買い物かごやショッピングバッグについての続きから始めようかと思います。

 

 

執筆者プロフィール

中正彦

石川県能美市『Joiner』店主。人のより良い暮らしを周囲のモノから考え、国籍や年代またジェンダーを越えた良品や新旧問わないデザインを世界各地からセレクトし、独自の世界観でミックスして見せることで、トレンドとは一線を画したスタイルを提案する。

URL:Joinerホームページ
ツイッター:Joiner公式Twitter
フェイスブック:Joiner公式Facebook
インスタグラム:joiner公式Instagram
インスタグラム(オーナー):netugetatakan

 

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