グラフィックデザイナー・仲條正義|中正彦のボクの買い物かご #06
今回のコラムは、追悼の意味を込めまして、先日お亡くなりになったグラフィックデザイナー・仲條正義氏のデザインについて書きたいと思います。
【TOKYO ART BEAT】グラフィックデザイナーの仲條正義が死去。資生堂パーラー、東京都現代美術館のロゴデザインなどで知られる
残念ながら今年出版された作品集「仲條 NAKAJO」が遺作になりました。
もしかしてこの本は、88歳という年齢的なことや、ご自身が癌だったということもあり、自分の名前を冠した集大成として出版されたのかもしれません。
この出版に合わせて東京の知り合いのショップで仲條氏の展示会とサイン会が開かれたのですが、残念ながらコロナ禍ということもあり行けませんでした。後日こっそり直筆サイン入りのモノを送っていただききましたが、今思えば直接お会いしてサインをいただきたかったと悔やまれます。
『仲條 NAKAJO』
仲條正義氏の直筆サイン
仲條正義氏といえばやはり、誰もが知る資生堂パーラーのロゴタイプ及びパッケージデザインでしょうか。
ボクのパケ買い(パッケージ買い)は、この仲條さんの資生堂パーラーのモノから始まったように思います。
子供の頃に親戚から貰った花椿ビスケットの空き缶は今も裁縫道具入れとして使用しております。
それ以後、銀座本店限定の手焼きで作られた高級仕様の黒缶、初期のシーズン限定の金・銀缶、資生堂パーラー創業110周年記念のマットな赤缶などをずっと買い続けています。
110周年以降の2012年からは毎年限定カラー缶が発売されていますが、2021年は今月からイエローゴールドが限定発売されます。何故か一昨年はビタミンカラーシリーズとしてメロン・オレンジ・レモンと3カラー連続発売がありました。
ちなみにボクは、花椿ビスケット缶だけでも通常版を含め20缶以上持っています。
花椿ビスケット限定缶(画像出典:PR TIMES)
ビスキュイ・サブレオフロマージュ・金平糖・プティフールセックなど、缶モノは新旧含めて全てコンプリートしています。缶を保管する缶がほしいくらいです。
仲條正義氏は、東京藝大卒業後に資生堂宣伝部に入社しています。その後独立しフリーとなり、仲條デザイン事務所を設立しています。
こういった経緯もあり、資生堂パーラーのパッケージデザインは四半世紀経った1990年に、仲條さんがデザインしたモノをまた改めて自らがフルリニューアルされています。ボクのコレクションもお陰様で2倍になり、保管が大変です。
資生堂パーラーのパッケージ(写真出典:こちら、資生堂センデン部)
資生堂の企業季刊フリーペーパー『花椿』も、休刊するまでの40年以上にわたって仲條さんがアートディレクターを務めていました。何十年にもわたりこれをフリーで配る資生堂は流石ですが、仲條さんのアートディレクションも流石です。
古民家などの古物買付時によく昔の古い『花椿』が出てきてつい読み入ってしまい、仕事の手が止まることが多々あります。休刊以前は金沢でもよく見かけましたが、復刊した現在はオヨヨ書林さんぐらいにしか置いてませんが、ボクは年2回ちゃんと毎度いただいています。
花椿(写真出典:RADONNA)
新しいところでは、老舗和菓子屋とらやのTORAYA CAFÉ・AN STANDの印象的な虎のイラストやロゴやパッケージデザインも仲條正義氏が手掛けています。
TORAYA CAFÉ・AN STANDパッケージ(写真出典:SUN-AD)
Yokan à la carte(ヨウカンアラカルト)のシーズンごとに限定発売される新フレーバーのカラー違いパッケージやパリのピエール・エルメとコラボレーションしたトリコロールカラーパッケージものは発売される度にほとんど義務的に購入しています。
Yokan à la carteピエール・エルメ(写真出典:TORAYA AN STAND)
とらやパリ店の開店35周年の寅多ティティ瓶は「今日の猫村さん」でもお馴染みのイラストレーター・ほしよりこさんが手掛けたもの。こちらも、海外の友人からお土産に貰い持っています。
Yokan à la carteパリ35周年(写真出典:とらやパリ店35周年祭)
ソニービル跡地の銀座ソニーパークで行われた藤原ヒロシさんによるポップアップショップで展開していた、普段は裏面に記載される食品表示をそのままラベルにデザインした限定のパッケージデザインのあんペースト瓶も素敵でした。
あんペーストGinza Sony Park(写真出典:Ginza Sony Park)
あんペーストといえば、ロンドンのMELROSE AND MORGAN(メルローズアンドモーガン)とコラボレーションした日本語の違和感が秀逸なトートバッグは思わず2枚買いしました。
あんペーストMELROSE AND MORGANトートバッグ(写真出典:Melrose and Morgan)
トラディショナルでモダンなデザインの融合は流石ですし、80歳を過ぎた人のデザインとは思えない…いやこの年齢だからこのデザインだったのでしょうか。
亡くなるまでデザインの仕事を生涯現役でされるということは本当にすごいことだと思います。
謹んでご冥福をお祈りします。