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100年以上続くいつものお酒って何だろう|酒蔵若女将のまんでまいッ!#07

まんでまいは、能登弁で「とても美味しい」の意。奥能登の酒蔵を支える若女将たちが地元ならではの酒肴を紹介すると共に、日本酒の魅力について愉しく語ります。

 

こんにちは、毎日米を呑んでいますか!松波酒造の若女将・金七聖子(きんしちせいこ)です。すっかり秋らしい風とサンマのような鱗雲が高い空に広がるとお腹が空いてくる季節となりました。

 

お酒やグルメにまつわるイベントも多く、金沢しいのき迎賓館のサケマルシェ、アナウンサーと能登をめぐるバスツアー、少し前には能登発酵文化祭など、ビギナーも常連様も日本酒にふれあう企画が続いています。そして11月5日には「能登牛と秋の味覚市in能登町」も開催されます!

 

私たちの蔵ではイベント時に”これぞおすすめ”として、大吟醸や純米酒、季節限定酒、数量限定品をご用意することが多いです。味や風味、香りやこのコラムにも書くペアリングの妙をより楽しんでもらおうと思うからです。

 

ですが、今回のコラムではあえて“本醸造”についてお話しします。

 

地元能登町内浦地区では認知度の高い「大江山 能登上撰」。20年前には自社の商品の中では最も製造量が多かった(現在は純米酒が最多)。オールマイティーな温度帯で飲める本醸造は、能登杜氏が品評会でも大切に評価する酒でもある。

 

石川県では「上撰(じょうせん)」と商品名にあるタイプのお酒。もちろん飲んでも美味しいのですが、その土地の風土と食文化に密接しているリアル地酒です。地魚、地元、地物、地者、そして「地酒」。飲むだけでなくいろんな役割があって、「本醸造 上撰」を見ると地域が分かるんです。

 

少しずつ時代の変化はありますが、このお酒は冠婚葬祭の場でよく登場します。2本の一升瓶を箱に入れて熨斗をかける。家が建つときの上棟祝、結婚が決まった方への贈答品(多い人だと数百本贈られます)、お葬式や法事。ラベルを見るとなんとなくこの土地で長く愛されているいつものお酒。能登地区ではお祭り、神社へのお供えや町内のキリコにお届けする機会も多くあります。

 

 

気軽ないつもの晩酌で、今夜は軽く2杯くらいかな~という気分の時に、なにも考えずに選べるお酒。つくねの焼き鳥、カワハギと玉ねぎの煮付け、薬味の利いたカツオのたたき…。ホッとするそんな夜にも合います。

 

私たちの酒蔵では、酒造りが始まる日(今年は11/10)に、杜氏さん、蔵人さん、社員さんと金七家の家族全員で卓を囲んで、能登牛のすき焼きをします。その時に呑むだけでなく、すき焼きの中にもたっぷり入れるのが本醸造上撰。日本酒と醤油と砂糖、お肉と野菜と豆腐の力で味が整います。本醸造は美味しい食材を煮込むときの最高の調味料でもあるのです。

 

 

人が集まったときに酌み交わすいつものお酒。普段着のようでもあり、大切な節目にもドンっと存在感がある。旅先でも地元の酒販店や旅館でしか会えなかったりしますが、その土地の顔というかキャラクターを感じられるのが本醸造なんです。

 

石川県内では町ごとに食のお祭りがあります。11月の能登牛の秋の味覚市では、能登牛BBQコーナーがあり松波酒造ブースでは本醸造のカップ酒も販売!最高のペアリングやよ♪冬に開催される能登寒ブリ祭りでは熱燗にしたカップ酒も!ご当地グルメのイベントが開催されるときは、ぜひリアル地酒の本醸造を探してみませんか?

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