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【NATURAL LIFE】日々の暮らし #08

昔は火というものはあたりまえに日常にあったものだった。
マッチを見たことがないという子供がいて「火をつけたことがないの?」と尋ねたら、そもそも「火を見たことがない」とかえってきた。正直すごく驚いたけど、よく考えれば今の時代は普通のことなのかもしれない。

 

料理をつくるとき、暖をとるときも今の時代は炎が見えない。タバコだって今は電子タバコの方が多いのかもしれない。
私が子供の頃の30年ほど前は薪ボイラーでお風呂を沸かしていたし、ストーブは石油ストーブだった。ストーブの上でお餅とか焼いていたしなんならみかんとかまで焼いてみたりしていた。

 

料理はもちろんガスだったし、祖父はたばこを吸っていたからライターやマッチが側にあった。私はマッチの燃えたあとのあのなんとも言えないにおいが好きだった。多分いまも好き。

 

 

30年経つとこんなにも暮らし方が変わる。 今はもっと変化のスピードが速いように思うし感じている。

 

私は逆に過去にさかのぼっていきたい。もっとゆったりと時間が流れたらいいなと思うし面倒くさい暮らしを好む。理想は『日本昔ばなし』。おじいさんは山へ柴刈りに…。おばあさんは川へ洗濯に…。そんな暮らしがしたい。もちろん、仕事はしないで日常を暮らす事が日常という暮らし。

 

と、想いを馳せてはいる私は、先日茅刈のイベントに友人夫婦と参加した。何をするかというと名の通り、カマを持って茅を刈る。 という単純な作業。普段デスクワークなので山の中ですごすことに気持ちよさを感じるものの、始まって1時間くらいで「疲れた…」「腰痛い…」と、まあ愚痴ばかり。

 

 

 

 

終わる頃には達成感と爽快感に満たされていたものの、日本昔ばなしのような暮らしはおそらく無理なのかもしれない。と、よぎったのでした。この刈った茅は湯涌温泉にある江戸村に使われるらしい。江戸村は自宅の近所なのでなんか嬉しい気持ち。こうやって郷土愛というものが生まれていくんだろうなと思う。

 

 

 

案の定、翌日には二の腕が筋肉痛だったがそれもまた心地よいのであった。私の日本昔ばなしの暮らしはいつになることやら。

 

暮らしを振り返る。
そんな歳になってきたんだと思う。

 

 

 

◯自然と人の共生を考える【NATURAL LIFE】

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執筆者プロフィール

加藤麻美(Rootive 代表)
森と生きるために木を利用し、地球に暮らす人に安心と癒しを提供する『Rootive(ルーティヴ)』代表。里山の保全活動や里山の資源を使ったイベント運営など、多彩な活動を展開。自然が大好きで、特に山をこよなく愛している。

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