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つながれ友達の輪!私のマスターピース③|俳優・星能 豊の場合

映画、音楽、本、漫画、はたまたお気に入りのグッズなど。それぞれの心をえぐった「自分的最高傑作」をピックアップして紹介していくリレー企画。今回は、金沢を拠点に活動する俳優の星能 豊さんにバトンタッチ。

 

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「自分的最高傑作」を紹介するということですが、その前に、ホシノって誰?という方がほとんどだと思いますので、自分のことも紹介しつつ、そして作品というよりは「傑作」そのものについて、僕の見解で進めていきたいと思います(そう勝手に言い切ってみました!)

 

東京での活動を経て、現在は地元・金沢に拠点を移してフリーで俳優をしております。金沢にて、気の合う仲間たちと〈ロジウラシネマ〉という上映会を何度か開催いたしました。

 

映画の日に二千円という料金で、無謀だと言われながらも70人を超えるお客様が観に来てくださいました。

 

 

そのお客様のひとりが、

YOCO ORGANのオオヤチさんでした。

 

東京から拠点を金沢に移したばかりの頃は、今の活動に共感してくださる方は多くはありませんでした。その場を盛り上げようと東京での撮影現場で面白かった話をしても「え?マウントですか、それ。」という金沢特有の閉鎖的ダークで冷ややかな揶揄が返ってくることもありました(もちろん全員がそうではないです。活字ってこわいので一応追記)

 

オオヤチさんとは出会ってすぐに意気投合しました。僕はラジオでYOCO ORGANの曲を聴いたこともあったけど、僕は無名の俳優。そんなことはお構いなしに同じ立場と目線で迎えてくれたオオヤチさんと、横安江町の珈琲屋で熱く語り合いました。

 

オオヤチさんはたくさんの自分の言葉を持っていました。僕は自分の言葉をなかなか持てず、「演じる」ことで言葉や自分が発信したいこと、表現したいことを今でも探しています。

 

あ「自分的最高傑作」の話でしたね。
前置きが長くなってすみません。

 

傑作って、どれだけ長い年月が過ぎてもずっと傑作と呼ばれ続けるものと、彗星の如く現れた傑作もあって。

 

映画だと、僕が勝手に呼んでるだけですが〈三大デヴィッド〉と〈三大アンダーソン〉監督たちの作品はほぼ最強です。

 

 


 

三大デヴィッド
デヴィッド・リンチ
デヴィッド・フィンチャー
デヴィッド・クローネンバーグ
三大アンダーソン
ロイ・アンダーソン
ウェス・アンダーソン
ポール・トーマス・アンダーソン

 


 

すみません、ひとつとか選べないです。

 

音楽はもちろん、小説、映画や舞台などの芸術作品において、昔からある作品であっても、自分が一度も観たり聴いたことがなければそれは新作なわけで「彗星の如く現れた傑作」というのは、自分が出会ったタイミングで生まれるのだと思います。

 

そして、ただ出来がいいものだけを傑作と言わず、愛着があるかどうかも必要な条件だと思います。

 

話がついつい長くなってしまいますので、最後に自分的最高傑作をひとつ。

 

ここでまさかの映画ではなくて、舞台です。
能登演劇堂で僕がエキストラで出演した無名塾の舞台
『いのちぼうにふろう物語』

 

クライマックスでは舞台後方のホリゾントが開き野外ステージとなり、待ち構えていたエキストラ集団のひとりだった僕は、御用提灯を持って走り回りました。ホリゾントが開くのを待っているときに空を見たら、とてもきれいな星が輝いていたんです。
それが僕の芸名の由来にもなっています。

 

あの舞台『いのちぼうにふろう物語』が僕の人生のなかで傑作であることは間違いないです。

 

傑作は自分の生活のすぐ近くにあふれていると思います。今、新型コロナウイルスでみんな疲れちゃってるところもあって、怒ったり、批判してるのをSNSでもよく見かけるようになりました。

もちろん声をあげることは大切だと思います。

 

作品に対して斜に構えて粗を探し、それを当然のように発している方もときどき見かけます。

 

まずは自分のすぐまわり。いろいろな作品を愛でる目で見つめてほしいと思います。今まで何も感じなかったものが違って見えたり、自分のなかの傑作をたくさん見つける。そんな日々を過ごすことでいつか、自分が傑作を作る側にいられたら。そう思って、俳優として活動しています。

 

ご高覧いただき、ありがとうございました。

 

今回のようなコラムはじつは苦手なのですが、演じるだけではなくもっと言葉も発していかなきゃという思いから、トークユニット「清順派」を株式会社ガイネン代表・辻村健二さんと立ち上げました。映画をメインに金沢、名古屋、岐阜をはじめ各地でトークイベントを展開していく運びとなりました。

 

 

次のバトンは、その「清順派」相方となる辻村健二さんにつなぎます。

 

最後に、みなさまと映画館や劇場でお会いできる日が少しでも早くくることを願っております。

 

 

 

今回の寄稿者

星能 豊(ほしのゆたか)

出演作品が国内各地、アメリカ、イギリス、フランス、チェコ、スペイン、ドイツなど海外でも上映される。2019年〈湖畔の映画祭〉にて出演作品『土手と夫婦と幽霊』(渡邉高章監督)主演俳優賞受賞。受賞を記念し、今年2月には名古屋・シネマスコーレにて自身の特集上映が開催された。

Twitter:@@uta007lego
HP:星能豊オフィシャルサイト

 

○つながれ友達の輪!私のマスターピース

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