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【HAND】先人たちの心を今につなぐ、伝統工芸の新しいカタチ。加賀友禅作家の太田正伸さん

加賀友禅は、石川県を代表する伝統工芸のひとつ。加賀五彩と呼ばれる艶やかな色彩で表現された自然美が特徴で、日本の着物の中で最も格調が高いものとされている。

 

今回クローズアップしたのは、加賀友禅の伝統工芸士として数多くの作品を手がける太田正伸さんの手。繊細な文様を描くその手には、伝統の技を次世代につなぐ強い意志が込められていた。

 

 

太田正伸(おおた・まさのぶ)
1963年能登町生まれ。友禅作家の白坂幸蔵氏に師事。1997年に独立し「友禅工房 文庵」を開業する。着物の制作を主としながら、伝統工芸展や展覧会にも積極的に出品。スニーカーやスケートボードなど、加賀友禅の可能性を広げる新しい取り組みが注目されている。

 

 

無地の生地に描かれた、自然の草花の流れるような美しさ

加賀友禅の制作工程はおもに12段階あり、そのすべての過程で熟練の技術が求められる。外を濃く、中心を淡く染める「外ぼかし」や「虫食い」などの表現でアクセントを付けられた文様は、京友禅などに見られる金箔や刺繍による加飾をほとんどしないのが特徴。そこには金沢の地に脈々と受け継がれてきた「染の心」が生かされている。

 

伝統工芸士の太田正伸さん。

 

加賀友禅といえば草花や鳥などで自然美を表現した古典柄が一般的。太田さんはそれらに風や光といった風物をとらえてオリジナルの文様を描き出す。「昔からの文様を組み合わせたデザインには伝統的な美しさがあります。ただ、それよりも作家自身がスケッチした文様を取り入れるオリジナリティこそが加賀友禅の最大の魅力だと思っています」と太田さん。

 

スケッチは一日一案が目標。「そのときはピンとこなくても、何年か経って作品のヒントになることもある」というように、太田さんの創作活動を支える貴重なアーカイブとなっている。

 

日々のスケッチは発想を豊かにする。

身近なアイテムに伝統工芸の技を落とし込む

加賀友禅の新しい可能性を模索する太田さん。現代人の感性に合った着物の制作に力を注ぎながら、展覧会に向けた創作活動も精力的に続けている。伝統的な技法を活かしたスニーカーもそのひとつ。

 

「独立から10年ほど経ったとき、伝統工芸の作家が集まって展覧会をする機会がありました。テーマは〈足元のおしゃれ〉。加賀友禅のほかにも山中塗や九谷焼などの作家さんがフットウェアを制作しました。これが想像以上の反響で、創作活動の励みにもなりました。これからも加賀友禅の業界だけにとどまらず、異業種との交流を深めながら生活に密着したアイテムを制作していきたいですね」

 

加賀友禅スニーカー。

 

加賀友禅を次世代につなぐ架け橋として、太田さんはこれからも創作を続けていく。

 

加賀友禅工房 文庵
カガユウゼンコウボウ モンアン
TEL.076-298-9172
※こちらの情報は取材時のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

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