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ギアラってなに?「焼肉博士」がホルモンの秘密、教えます。

ギアラ、ハチノス、コプチャン、ドーナツ…。

 

これってなんだか分かりますか?「ホルモン」というのは分かるけど、それが牛なのか豚なのか、どこの部位なのか、どんな味なのか。知らないものも多いのでは?

 

というわけでやってきたのは金沢市八日市にある『とらや』。ホルモンの品揃えに定評のあるこのお店で、部位ごとの特徴から焼き方まで、ホルモンの基本をレクチャーしてもらおうと思います。

 

JR野々市駅から歩いて10分ほどの場所にある『とらや』。

 

ホルモン好きにとっては知る人ぞ知るお店。昼は食堂として定食やうどんなども提供している。

 

ホルモンについて教えてくれるのは、ビックの愛称で親しまれる店主の小倉光一さん。県内の焼肉店で10年近く修行をした後、両親が経営する『とらや』を継ぐために独立しました。

 

大の格闘技好きで、店内にはプロレスグッズがたくさん飾られています。

 

我ら編集部が「焼肉博士」と信頼を寄せる店主の小倉光一さん。ホルモンのことならきっとなんでも答えてくれる。

 

新鮮な国産ホルモンにこだわり

『とらや』では通常、牛と豚を合わせて40〜50種類のホルモンを提供。今回はその中から10〜15種類を盛り合わせた「ミックスホルモン盛り」を注文して、解説してもらいます。

 

ちなみに使用するホルモンは小倉さん曰く

小倉さん

牛は一頭買いした生のものを九州から直送で。豚も毎朝、新鮮なものを仕入れてます。

とのこと。入念な下処理によって独特の臭みを消すだけでなく、ホルモン本来の旨味を損なわないよう、部位によってはあえて若干の臭みを残すこともあるそうです。

 

それでは「焼肉博士」小倉さんに、ホルモンの基本を聞いてみましょう。

 

ミックスホルモン大盛り 1,900円(税抜)※写真は2人前

ざっくりとホルモンってどの部分を表しているんですか?

小倉さん

一般的には腸や胃袋=内臓のイメージが強いと思うんですけど、精肉として扱われない部位のすべてがホルモンになります。軟骨とかハラミなんかもそうですね。

え!そうなんですね。では、牛と豚ではなにが違うんですか?

小倉さん

味ですね。牛は脂が乗って味も濃い目。豚はどちらかというと淡白で旨味がある。なのでうちではそうした特徴に合わせて牛のホルモンは特製の味噌だれで、豚のホルモンは塩だれで味付けしてるんです。

部位によってそれぞれ特徴があると思います。何を基準に選べばいいんでしょうか?

小倉さん

「食感・歯応え」「肉っぽさ」「脂の旨味」の、どれを楽しみたいかによって変わってきます。ミックス盛りを作るときも、そのへんのバランスを心がけていますね。

まずは自分の好みを決めて、それからメニュー表の解説を読んだり、店員さんに聞いてみる。というのが大事だとわかりました。

 

ここからは「食感・歯応え」「脂の旨味」「肉っぽさ」に分けて、ホルモンを紹介していきます。

 

独特の食感が楽しめるホルモン編

ミノ…牛の第1胃袋。コリっと弾力のある食感。しっかり処理をすることで淡白でクセのない味となる。

 

ハチノス…牛の第2胃袋。独特の舌触りとシャキっとした歯応えが特徴。焼き過ぎると硬くなるので注意。

 

ハツ…牛の心臓部位。筋繊維が細かく、歯応えしっかり。臭みが少ないのでホルモン初心者にもおすすめ。

 

レバー…牛の肝臓。トロっとした食感で栄養価も高い。人気商品のため品切れ御免。絶対に食べたいという人は事前に予約をするか仕入れ後の日曜、月曜が狙い目とのこと。

 

ガツ…豚の胃袋。貝のような独特の食感。牛の胃(ミノ)よりも柔らかく、サクサクと噛み切れる。

 

コブクロ…雌豚の子宮。淡白な味わいとコリコリした食感が特徴。煮込み料理などにもよく使われる。

 

コリコリ…豚の大動脈。イカのような歯応えが楽しめる。牛でいうハツモトの部位にあたる。

 

ドーナツ…豚の喉元。軟骨ならではのサクサク食感。真ん中に穴が開いているのでその名がついた。

 

ノドブエ…豚の喉の先端。キクラゲのような食感の軟骨でカルシウムも豊富。クツベラと呼ばれることも。

小倉さん

コリコリ、サクサク、モチモチ、トロトロ。いろんな食感が楽しめるのもホルモンの魅力です。ただ、焼きすぎるとそうした食感が失われてしまうのも難しいところ。ハチノスなどはあらかじめボイルしたものをサッと焼くことで、本来の食感が楽しめたりします。

まだまだ続きます。続いてはジューシーな脂の旨味が堪能できるホルモンをご紹介!

 

脂がたっぷり乗ったホルモン編

ギアラ…牛の第4胃袋。上質な脂身がたっぷりで、噛むほどに肉汁があふれる。小倉さんは食感が均一になるよう硬い部分に隠し包丁を入れている。

 

コプチャン…牛の小腸。脂身がたっぷり乗ったホルモンの王様。プリプリした食感で、酒のつまみにぴったり。

 

まるちょう…牛の小腸をぶつ切りにしたもの。部位的にはコプチャンと同じだが、脂身の旨味がより凝縮され、ジューシーな味わいとなっている。

 

シロ…豚の小腸。ホルモンといえばこれ。噛むほどに味わい深く、香ばしい。ちなみに大腸はシロコロと呼ばれる。

 

てっぽう…豚の直腸。プルプルの脂を生かすには焼き加減が大事。開くと鉄砲の形に似ていることからその名がついた。

小倉さん

ジューシー系のホルモンはいかに脂を落とさずに食べるかがポイント。ホルモンにも裏表があるので、かならずシワシワがある表から焼きましょう。裏返すタイミングは、ホルモンが少し縮んで脂身が乳白色に変わったあたり!焼きすぎるとゴムのような食感になってしまうので要注意です。

最後は肉とホルモンの良いとこ取りをした人気の部位で締めましょう!

 

肉っぽい味わいのホルモン編

かしら…豚のこめかみやほほの近くにあたる部位。ゼラチン質が多く、もちっとした食感が楽しめる。

 

タン…豚や牛の舌。豚のタンは牛に比べて食感はコリコリ。それでいて肉のような味わいも楽しめる。

小倉さん

ほかにも牛の部位だとサガリ、ハラミ、ツラミなんかもこのカテゴリに入ります。肉の旨味が凝縮された部位ではあるんですが。じつはしっかり焼いて焦げ目をつけた方が、香ばしくなって美味しく仕上がります。

小倉さん曰く「しっかりと火を通しながら、食感や肉汁を失わないよう焼き加減を調整するのがポイント」とのこと。

 

いかがでしたでしょうか?

 

たくさんあって覚えるのが難しいホルモンの部位も、特徴さえ掴めばいつかは完璧にマスターできるはず。

 

ちなみに『とらや』では、真空パックされた新鮮なホルモンのテイクアウトもできるとのこと。これからの季節は自宅でホルモンを焼いて、食欲の秋を謳歌してみてはいかがでしょうか。

 

 

焼肉ホルモン とらや

石川県金沢市八日市2-211-2
TEL.076-244-0211
営業時間/11:00~14:00、17:00〜23:00
定休日/火曜、台月曜日
席数/カウンター6席、テーブル14席、座敷18席
駐車場/15台
※こちらの情報は取材時点のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

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